名古屋版:ホイリゲ懇親会 店舗・メニュー・現場の声(3)銀座あしべ
第四回ホイリゲ懇親会(外食レストラン主催)が、6月25日、(株)かぶらやグループの銀座あしべ(名古屋市中村区名駅五‐三八‐五、電話052・587・1588)にて開催された。懇親会は、時代に先がけた新しい挑戦をしている外食企業のトップを講師に迎え、経営方針や理念、店づくり、メニューやサービスを語ってもらうスタイル。実際に店舗で提供されるメニューを試食しながら、料理長にメニュー戦略を聞くなど、参加者との情報交換を目的としている。
成功店のノウハウで多店舗展開をするのが外食界の常套である中において、かぶらやグループは同じ業態にこだわらず、周囲を驚かせる斬新なコンセプトを打ち出し続け、今や目が離せない企業だ。
このかぶらやグループが今年4月、またまた名古屋に新風を吹き込んだ。「銀座あしべ」である。老舗名店街の象徴でもあり名古屋の発展を背負ってきた広小路通りも、昨今は様変わりしているが、インターナショナルで大人が心からくつろげる空間はまだ少ない。そんな間隙を縫うように、柳橋南のビルの地下、ゴージャスなレストランバーは誕生した。
銀座ACB。記憶にある方もいるだろうが、流行の最先端のライブハウスとして多くのスターがステージを盛り上げた店。そのACBのオーナーが、かぶらやグループの岡田社長に思いを託して始まったのがこの店。
銀座あしべのメーンはロールずし。しかもロサンゼルス日本料理店で人気のロールずしを、福永力料理長が技術を盛り込みアレンジ、日本独自の素材や調理と海外のメニューがドッキングしたオリジナルロールずしとして楽しめる。
かぶらやグループは、名古屋市東区東桜の裏通りに「嚆矢」という屋号で一号店を開店して一〇年を迎える。現在は「飯場」「CHINA5」「評判矢」「ちゃうちゃう」「べこたん」などの異なるコンセプトを持つ店舗を展開する。
「三年後には、万博が開かれます。文化不毛とか、土産は『ういろう』だけとか言われていますが、名古屋には楽しめる店がある、満足した、と来日する外国人の方に言わせたい」と。さらに「今までにないものを提案していくと、マスコミなどは興味深く取り上げてくれるが、われわれが見ているのはメディアでは決してない。今晩来てくださったお客様の貴重な声を、きちんと聞き取っていかないと方向を見失うことになる」と常々従業員の気持ちを引き締めている。
一階の入り口はモダンで洗練されたつくりで、洋風な店内を想像してしまうが、どっこい店内は重厚な和風のイメージ、照明を極力抑えたムードあふれる空間である。個室スペースやカウンター、多人数にも対応できるマルチプルな広間もありサロンのムードだが、ロールずしをはじめとする創作料理にこだわりの酒の数々は、雰囲気のみならず胃袋もかなり満足させるものとなっている。
今回テーブルを飾った料理は、前菜(鮪の刺身、ひらめと生ハムのピザ、ポップコーンシュリンプ)、エリンギと砂肝のガーリック炒め(七〇〇円)、BARISOBAサラダ(七五〇円)、カリフォルニアロール(九〇〇円)・サーモンロール(九〇〇円)・キャタピラーロール(一二〇〇円)、新食感アンニン豆腐。凝った料理と、盛りつけの美しさが、会話を盛り上げるツールとなる。
かぶらやグループの経営理念は「お客様第一主義。日々努力、謙虚で前進あれ」である。社長は今も自ら調理の場に立つ。社員の特性を見抜き、新しい店舗展開にも反映させている。現在一九ヵ所となった店舗には、正副社員総勢四八〇人が働いている。「信頼しているから怒鳴ることもある。でも社員の定着率は非常に良い。皆、食をエンジョイしていると思う」と社長は語る。
次のアイデアも、もち論すでに頭にはある。突っ走ってきた一〇年、今後は深みや郷愁もある大人の集える場所の提案が期待されるところ。名古屋が生んだ風雲児は、さらにセンセーショナルな食空間をわれわれに提供してくれそうだ。
●今回の参加企業 ワナー物産、東生食品、ナカノス、久世、ホーネンコーポレーション、サカツコーポレーション、アンドウ商店、ヨコオフーズ、伊藤、アサヒビール、あづまフーズ、尾家産業、新川食品、マルト水谷、高瀬物産、清浄食品、ニチロ、相生味醂の一八社二四人。