トップインタビュー:永昌源代表取締役・上野史禮氏
永昌源は中国酒「老酒」やリキュール「杏露酒」などの有力ブランドを手掛ける国内唯一の中国酒製造メーカー。時代にあった、健康を意識した酒造りを基軸に中国酒とリキュールを外食市場に提案し続けている。「夢ある味わいの提供」をモットーに新しいマーケットの創造に取り組む上野社長に聞いた。
‐‐中国酒の人気が年々高まっていますね。
上野 海外旅行(上海)ブームで若い女性が中国に目を向けています。われわれもターゲットを女性に向けて展開していますが、杏露酒というアンズのリキュールを筆頭にサンザシ、レモン、リンゴ、ライチをラインアップした五種類が居酒屋市場で伸びています。
先日、当社商品がラインアップした焼き鳥屋に行った時、カップルのお客様が二人そろってライチ酒をオーダーしてました。以前なら「まずビール」が普通なのに、最初からリキュールというスタイルに驚きましたね。
今後さらにリキュールのユーザー層が広がることを確信しました。
‐‐現在最も力を入れている商品は何ですか。
上野 紹興酒を含む貴酒カテゴリーの輸入実績においてはここ一〇年で二〇%ほど伸びています。紹興酒と老酒は別物ととらえている方が多いのですが、紹興酒は老酒の一種で中国浙江省紹興市で造られたものだけを言うことが認識されつつあります。3月に発売した紹興貴酒は、紹興市の優良工場大越酒業有限公司で造られた自信作です。瓶、カメツボと品揃えも豊富です。ぜひ飲み比べていただきたいですね。
実をいうと私も紹興酒を誤解してましてね。本場物をワイングラスで飲まされたとき、上澄みの上品な味わいに目からうろこが落ちました。これはぜひ女性に試していただきたい。そのふくよかな香りと味わいは、シェリー酒にもにており、イタリア料理、スペイン料理にもマッチすると思います。
かめの一五年物などは高価ですが、飲食店ではグラス売りするなどして、少しずつでも紹興貴酒の本当のおいしさを楽しんでいただきたい。高品質な味わいをレベルの高いサービスで提供する。ワイングラスに注ぐなど付加価値をつけて勧めればお客様も大喜びすると思います。
‐‐お客様に対する提案方法が大切ということですね。
上野 当社の商品は味覚のバリエーションが充実しており、お客様に対するアプローチ方法もメーカーとして提案できます。これが当社の価値だと思います。
‐‐今後の展望は。
上野 中国酒の潜在需要は大きいと思います。私がおいしいと思ったから勧められる。その感動を多くの方に伝えたいです。量よりも質を追いかけるクオリティーリーダーとして、これからも良い中国酒を提案していきます。
●上野社長いち押しの逸品・陳年 紹興貴酒
中国浙江省紹興市の良質なもち米と鑒湖の湧き水、高度な技術陣の手で丁寧に造り上げた紹興酒。かたくなに伝統的なカメ仕込みにこだわり、醸造後じっくり歳月をかけて熟成させた銘酒は、ひと味もふた味も違うまろやかな深みを醸し出す。日本で唯一老酒を製造する永昌源が自信を持って勧める紹興酒の逸品だ。
現地法人の紹興市大越酒業有限公司は、中国内屈指の紹興酒生産の技術と設備を持ち、国家級評酒大師と高級技術員を集め、伝統的な手作り醸造と現代科学を融合させ、良質な紹興酒を生産している。
陳年 紹興貴酒/五年物三七五ミリリットル(四七〇円)、同六四〇ミリリットル(一一五〇円)、八年物六四〇ミリリットル(一四〇〇円)、一〇年物六四〇ミリリットル(二〇〇〇円)、一五年物五〇〇ミリリットル(四〇〇〇円)、同三リットル(一万二〇〇〇円)
◆問い合わせ=(株)永昌源(東京都品川区、電話03・3491・6337)
◆プロフィル
うえの・ふみのり/昭和24年広島県生まれ。49年早稲田大学法学部卒業、同年4月キリンビール入社。平成13年10月同社北九州地区本部、福岡支社北九州支店長に。14年3月同社酒類営業本部長付、永昌源(株)代表取締役に就任。