この一品が客を呼ぶ中華料理編・仙台:「上海邨」鶏肉と枸杞の実のお粥
仙台一の繁華街・国分町に、昨年オープンした仙台初のおかゆ専門店「上海邨」。健康ブームの昨今、飲み会前の腹ごなしに、飲んだ後のシメの一杯に、ラーメンよりも胃に優しく、低カロリーの一品を! そんなニーズに、深夜3時までこたえてくれる、貴重な一軒である。
日本人向けにアレンジはせず、中国に伝わる一〇〇種以上のおかゆの中から、上海出身のオーナー・柳沢千暁さんが、日本人の舌に合う四七品を厳選。貝柱と鶏肉といったなじみの味から、レバー、ユリの花、スッポン、オクラ、雑穀と小豆にフルーツを加えた甘いおかゆまで、本場仕込みのメニューがそろう。
好みで明太子のトッピングや卵とじの注文も可。中でも「鶏肉と枸杞の実のお粥」は、特に女性に人気の一品だ。「クコの実は目によし、肌によし。薬理効果が高くヘルシー志向の女性にぴったり」と柳沢さん。
蒸した鶏ももの軟らかい食感が絶妙で、クコの実の甘酸っぱさ、ネギの香ばしさと相まって、女性でもペロリと平らげてしまう。
中華料理店のおかゆと違い、専門店ならではの、スープ作りに時間をかけ、生ゴメからおかゆを炊いているのがこだわりだ。
味のベースとなるスープには、鶏がらや野菜のほか、本場中国の漢方をプラス。
三時間コトコト煮詰めたスープを、宮城県産のササニシキにたっぷり加え、独特の甘い香りを醸し出すもちゴメとともに、生ゴメから作り上げる。漢方の薬効とスープのうまみが、コメの芯まで染み込んだ医食同源の味。食せば、疲れた身体に効果てきめん。「翌朝の目覚めがすこぶる良い」と評判である。
◆上海邨(仙台市青葉区国分町二‐九‐一六、クレーネ日泉ビル一階、電話022・261・9818)営業時間=午後6時~午前3時、日曜祝日定休/席数=一六席/一日食数=五〇食
◆食材の決め手 クコの実
新陳代謝を促すクコの実は、中国の薬膳料理に欠かせない漢方の一つ。中でも 夏産は、“枸杞王”の名の通り、本場中国でも最高と称される一級品だ。
フレッシュな甘酸っぱさが際立ち、水分を加えると干しブドウ大の大きさに。おかゆの具として、ほかとは比べ物にならないほどの存在感を醸し出す。
「これを加えるとスープの味もぐっと深くなります」。クコの実は、すべてのおかゆに追加トッピングができる。