味の魔術師ココナッツミルク、ナタデココを使ったデザート
ココナッツミルクは、まだ熟していないココナッツの中にある甘くて透明な水分のことではない。透明な水分は、ココナッツ水とかココナッツジュースと呼ばれ飲料にはなるが料理用ではない。ココナッツミルクとは、ココナッツを細かく削るかすりおろしたものに水を混ぜて絞った液体のこと。脂肪分が多く、甘味があり、見かけも味も牛乳そっくりである。用途も牛乳と変わらない。スープやソース、ケーキなどの生地に混ぜて使う。煮立てるときには、かきまぜないと脂肪分と水分が分離してしまうなど、扱い方まで牛乳に似ている。ココナッツミルクを作るとき、加える水の量を少なくすると、とろりとして濃厚なココナッツクリームができる。熟練したコックは、ココナッツクリームとココナッツミルクを使い分けて料理を作る。
ココナッツミルクの用途は広い。ココナックミルクは、まず野菜や肉や魚を煮るときのだし汁になる。やし砂糖を加えて煮立てれば、果物用のソースになる。でんぷんやバターを加えれば、肉や魚料理用のホワイトソースになる。アロウルートやキャッサバのでんぷんを加えれば、プディングもできる。泡立てれば、洋風ケーキの糖衣ができる。またクリームスープに加えたり、水の代用として、ご飯を炊いたり魚を煮たりもできる。コーヒーに入れて飲んでもいい。唐がらしやその他の香辛料の辛さを柔らげて、口あたりをなめらかにする働きもある。ハワイ、タイ、ベトナムのカレー、インドネシアの各種のグライの味の秘訣はそこにある。