業務用加工食品ヒット賞・和食:刻み生ゆず(カネク)
■和食部門 「刻み生ゆず」 カネク(株)
◆二桁増続くヒット商品
カネク(株)(東京都青梅市日向和田、電話0428・22・2141)の冷凍「刻み生ゆず」は、ユズブームに先駆けて発売、すでに20年以上の販売実績を誇る超ロングセラー商品である。当初はざるそばの薬味として、そば屋ルートに発売した。それを契機に、茶碗むし、吸い物、酢の物、煮物、焼き物、鍋物、カキグラタンなどの料理に広がった。やがて、ゆずぽん酢などの第一次ユズブームが始まり、刻み生ゆず製品は業務用関係者の関心を引き、製品開発の素材として利用され、「ゆず切りうどん」「ゆず豆腐」「ゆず茶」などに、さらに練り込み素材として和菓子や洋菓子、製パンなどにも広がり、今でも年々二桁の伸びを見せているヒット商品である。
ワサビ製品の大手である同社とユズとの出合いは、昭和57年の製品拡大路線の推進、とりわけ高知県にショウガ製品の拠点を求めていた中で、ユズ果汁生産農家から相談された中から「刻み生ゆず」の商品化が計画された。
高知県はユズ生産では日本一を誇っている。例年ユズの収穫は、10月末ごろの青みにやや黄色がかった実になるころから始まり、冬至ユズの12月ごろまで続く。その間に、加工向け、生鮮向けが収穫されるが、山に霜が降りると酸味が薄れて甘みが増す。
しかも農産物の常として作柄に表裏がある。裏作の次は必ずしも豊作ではなく、2年連続の裏作続きもあり、加えて高知は台風の進路にもなっており、豊作が一変して収穫を減らす年もあるという。
このような状況下での原料確保は難しく、年間を通して現在の安定供給体制が整えられたのは平成5年ごろからである。原料収集のノウハウもでき、その結果、製品作りのノウハウも確立し、(1)厳選ユズ皮だけを使って(2)ユズの内皮をきれいに除去し、見栄えもよく、食べたときの苦みも少ない(3)ヘタや傷んだ部分を工程内で完全に選別除去し歩留まり100%(4)添加物、着色料、保存料は一切使用しない製品。高知県産100%のユズの皮だけの商品が完成し年間供給を可能にした。
使用方法は、凍結のままで簡単にほぐれるので、解凍の必要はなく、凍結のまま必要量だけ取り出して使用できるというもの。
内容量は刻み生ゆず100g、荷姿30袋入り(5袋×6箱)。賞味期限180日。保存条件は要冷凍(マイナス18度C以下)。
関連商品として「冷凍おろし生ゆず」「冷凍生ゆずしぼりたて」「ゆずごしょう」「みぞれ柚子」「柚子わさび」がある。
◆流行アジア麺・アサリの塩そば
作り方/(1)鍋にオリーブ油を熱し、ニンニクスライス、唐辛子を炒め、香りが出たらアサリ、酒を加え、ふたをして蒸す。(2)(1)のアサリをザルに揚げ、蒸し汁にだし汁を加えて沸騰させ、塩、「刻み生ゆず」を加える。(3)器に(2)のだし汁を入れ、ゆで上げたそうめん、軽くボイルしたチンゲンサイ、(2)のアサリをトッピングし、アサツキを散らす。
◆チキンと大根のステーキ・ゆずの香り
作り方/(1)大根はコメのとぎ汁でゆがき、だし汁で煮る。(2)ゴーヤの輪切り、レンコンの薄切りに薄力粉をまぶして揚げる。(3)砂糖、みりん、白味噌、だし汁、「刻み生ゆず」を加えて煮る。(4)鍋に油を熱し、鶏もも肉をソテーする。(5)(4)の鶏もも肉を取り出し、(1)をソテーする。(6)皿に(3)をしき、(5)と(4)を重ね、(2)をあしらい、「刻み生ゆず」を散らす。
◆クレープシュゼット・和のコラボレーション
作り方/(1)鍋にクレープ生地を並べ、リンゴジュース、ユズ果汁、レモン汁、グラニュー糖、無塩バターを加えて火にかける。(2)沸騰してきたら「刻み生ゆず」とブランデーを加えてフランベする。(3)フランベの火が消えたら、クレープだけを皿に盛りつけ、汁は少々煮詰める。(4)クレープに(3)をかけ、バニラアイスを添え、ミントの葉を飾る。
◆夏野菜の涼風
作り方/(1)ナスは素揚げにしてカットし、ニンジン、ズッキーニ、オクラ、サツマ芋はダイスカットにする。(2)だし汁、砂糖、塩、醤油、みりんを合わせて一煮立ちさせ、(1)を加えて軽く煮る。(3)火を止めて15分おき、野菜を取り出す。(4)水でもどした寒天を(3)に加え、煮溶かす。(5)野菜をもどし、「刻み生ゆず」を加え、器に盛って冷やし固める。