ニューヨーク通信 外食ビジネスの新発想(3)NYの癒やし空間デザートバー
いま一番のニューヨーク・トレンドは、おしゃれなデザート・バーだ。デザート・バーとは、名前が示す通り、アルコールも楽しめるデザート専門のバーのこと。カフェでは、デザートとコーヒー・紅茶のセットを楽しむが、デザート・バーでは、甘さ控えめのデザートとカクテルやワインのセットを楽しむ。まさに大人の癒やし空間だ。(外海君子)
リトルイタリーから至近距離にオープンした「ルーム4デザート」は、今、評判のデザート・バーだ。ペストリー・シェフは、フランス、スペイン、イタリア、オーストラリアなどで修業を重ねたウィル・ゴールドファーブさん。弁護士を目指したが、旅行したパリで料理に目覚め、シェフになったという異才だ。
量と甘さで勝負といったイメージの強いアメリカのデザートとはかけ離れ、ここで出されるデザートはあくまで繊細で美しい。巨大なアップルパイも、甘すぎるチョコレートケーキもここにはない。すべて、あくまで甘みを控えた上品な味の大人向けのデザートだ。
デザートは10種類あり、白いプレートの上に並べた小皿に盛って出される。メニューは、年に4回(1月、4月、7月、10月)季節ごとに変わる。飲み物は、コーヒー(4ドル)、カフェ・ラテ(5ドル)、紅茶類(8ドル)もあるが、メーンの飲み物はアルコール類で、それぞれのデザートにマッチしたシャンパン、ワイン、カクテルをそろえている。
値段は、2006年秋のメニューで一番高いものがフランスのデザートワイン「クリュ・バレジャ2003年」。ボトルが172ドル、グラスが36$。ちなみにこのワインとペアで食べることを推奨されているデザートは、洋ナシのデザート「ラッセ・ペアー」(14$)だ。
ミニマリストのモダンなインテリアに、20数人が座れるカウンター席。落ち着いたムードに包まれている。デザートを出すとはいえ、ここは子ども向けの場所ではない。大人たちが、夕刻、しゃれたBGMを聞きながら、デザートを目で楽しみ、舌で楽しんでくつろぐという特別な空間だ。
繊細なデザートを酒とともにゆっくりと楽しめるデザート・バー。今後さらに新規出店が加速しそうな勢いだ。
●人気メニューベスト3(2006年秋シーズン)
1位 チョコ・エン・オウ(ホワイトチョコレートのケーキ、カカオムース、サフラン・シュクレ、チョコレート・クリーム、チョコレート・アイスクリーム)14ドル
2位 トッツィー・ロール(あたたかいチョコレートとプラリネのムース、ストルーゼル、レーズン、テキーラ・フルイド)10ドル
3位 ラッセ・ペアー(焼いた洋ナシ、洋ナシのババリア風クリーム、パリッとした洋ナシの皮、カボチャのケーキ)14ドル
●事業データ
店舗名=ルーム4デザート(Room 4 Dessert)/所在地=17 Cleveland Place,New York,NY 10012/開業日=2006年1月/営業時間=月~木・午後6時~午前0時、金土・午後6時~翌朝1時、日・午後4時~11時/席数=28席/客単価=30ドル~40ドル/1日来客数=30~140人/スタッフ数=5人(内2人は見習い)/床面積=500平方フィート