正しい日本食を提供する海外の日本食レストランに「推奨」の支援を与え、日本食の国際化と日本食材の輸出振興を目指す民間組織が発足した。「日本食レストラン海外普及推進機構」（ＪＲＯ=Ｏｒｇａｎｉｚａｔｉｏｎ　ｔｏ　Ｐｒｏｍｏｔｅ　Ｊａｐａｎｅｓｅ　Ｒｅｓｔａｕｒａｎｔｓ　Ａｂｒｏａｄ）がそれで、７月１７日に東京・港区の虎ノ門パストラルで設立総会を開き、茂木友三郎氏（農林水産物等輸出促進全国協議会会長）を理事長に選任するなど、活動議案と役員人事を決議した。９月上旬を目標に主軸となる推奨の統一基準案を作成し、今期末（３月）には活動を具体化する方針だ。

ＪＲＯの目的は、健康ブームで急増している海外の日本食レストランを支援し、日本食の魅力と信頼度を世界に伝えるもの。日本文化の発信拠点となっている、それらの優良店を推奨することで、日本食のイメージアップと日本食材の輸出振興を図る。

３月に農林水産省が設置した海外日本食レストラン推奨有識者会議で「日本食レストラン推奨計画」が提言され、これを具体的に進める民間組織として、６月２１日、有識者４９人の発起人を集め設立された。設立総会時の会員数は４８社（個人会員も含む）。７月中にＮＰＯ法人申請を行い、対象不問で幅広く賛同者（法人会員、個人会員、賛助会員）を募る予定。

設立総会で茂木理事長は「海外の日本食レストランは推定２万４０００軒。健康的で理想的な食スタイルが注目され、ここ５年で倍増の勢いにある。日本食の魅力を世界に伝え、日本食・食材の海外市場開拓に寄与するため、ＪＲＯは世界の日本食レストランに対し推奨などを行い、日本の食文化が世界に共有されることを目指す」とあいさつした。

有識者会議座長の小倉和夫理事は「良い点を伸ばしてもらう意味で『認定』ではなく『推奨』とした。料理や食材のみならず知識や感性にまで広げて日本食の良さを啓発したい」と語った。

来賓の山本拓農林水産副大臣は、「農水省は民間主体で組織されたＪＲＯを歓迎するとともに側面支援を行う。今期補助金の２億７６００万円を有効活用していただき、来期につなげるために、国民の目線で評価できる成果を期待する」と述べた。

◆主な活動

（１）推奨基準の策定に関する事業=「日本食レストラン推奨計画」に基づき、自主的・継続的に実現可能な日本食レストラン推奨のための基準の策定。

（２）推奨マークの策定及び管理等に関する事業=海外の日本食レストラン推奨店に交付する推奨マークの策定、商標登録及び管理。

（３）海外の現地組織設立支援に関する事業=世界各都市の取り組み主体となる現地の組織化を支援するとともに、必要に応じて日本から専門家を派遣。

（４）機関誌の発行及び調理技術向上のための教材等の作成に関する事業=日本語・英語を基本とした機関誌の発行と、日本食の調理技術を普及発展させるための教材等の作成。

（５）各国料理団体等との交流、講習会等を通じた人材育成に関する事業=各国の料理団体・料理学校との交流や、講師を派遣して講習会を実施するなど、日本食の調理に関する人材育成。

（６）海外の日本食ニーズの把握と現地でのＰＲ活動に関する事業=海外のニーズを調査し、国内法人会員への情報提供や、現地メディアとのタイアップによる日本産食材のＰＲ活動。

（７）海外の会員相互間の交流を通じた情報交換に関する事業=推奨店相互間の交流を図り情報交換を支援するとともに、推奨の対象とならなかったレストランへのサポートの実施。

（８）日本産食材の輸出促進等の調査研究に関する事業=検疫問題やコスト面で輸入したくても輸入できないといった課題に対応するため、機構が調査研究を行い政府への提言を実施。

（９）その他日本食・日本食レストランの普及に関する事業

（１０）事務局=主たる事務所を東京（東京都港区芝公園１‐７‐８、ＩＴビル３階、電話０３・５７３３・２５８５）、従たる事務所を京都（京都府京都市中京区二条通河原町東入ル樋之口町４６３番地、西村ビル４階、日本料理アカデミー事務局内、電話０７５・２４１・４１６３）に置く。

◆役員

▽理事長・茂木友三郎（農林水産物等輸出促進全国協議会会長）▽副理事長・米濱和英（（社）日本フードサービス協会会長）▽同・村田吉弘（ＮＰＯ法人日本料理アカデミー理事長）▽専務理事・加藤一隆（（社）日本フードサービス協会専務理事）▽理事・青井倫一（慶應義塾大学ビジネススクール教授）▽同・伊藤雅俊（味の素（株）専務執行役員）▽同・垣添直也（（社）日本冷凍食品協会会長）▽同・西藤久三（（財）食品産業センター理事長）▽同・藤ジニー（山形県銀山温泉旅館藤屋若女将）▽同・中村靖彦（ＮＰＯ法人良い食材を伝える会代表理事）▽同・服部幸應（学校法人服部学園理事長）▽監事・石田彌（（社）日本惣菜協会会長）▽同・浦上節子（（財）浦上食品・食文化振興財団理事長）▽同・小倉和夫（国際交流基金理事長）▽同・北里一郎（食品産業中央協議会会長）