飲食トレンド ケータリングカー、アンテナショップの役割も持つ
ビジネス街などでは、昼時に数多くの弁当を売る車が見掛けられる。新しいカタチのケータリングカーは、その場で注文を受け、その場で作って売る移動店舗だ。
この車の機動力を生かし、人の集まる所、通りのある所へ行き、でき立てを売る。店舗を構えず、よりお客に密着する移動型店舗は、アンテナショップとしても注目され、新しい業態に育ちそうだ。
車の機動力を生かしての移動店舗だけに、駐車場の確保が大きな問題となる。
CARクレープAZUは、映画館内駐車場、デパートの駐車場などの空地に出店し、その場で焼き上げたクレープを提供する形態を取る。
「戦力は二人。一日三時間位の短期決戦は、ロスが多い。他店の空地に定着し、いずれ店舗を構えるまでのアンテナショップとしたい」(オーナーの岩川さん)と、若い女性をターゲットに、日本でも数少ないシトロエンを改造、雰囲気を盛り上げている。
不安定な移動販売を積極的に利用しているのが、スブラキハウスだ。
オーナーの楠本さんが、かつて味わったギリシャのスブラキを広めたいと、若者の街青山、渋谷の通りでの車販売。オープンキッチン風車内では、一五キログラムのラム肉をグリルで焼き上げ、注文ごとに削りピタパンに詰め、アツアツを提供する。
「二、三年前は、馴染みが薄く入り難かったが、今は、路上販売ながら固定客も増え、客の生の声が聞ける手応えは大きい」とし、ほかにも、デパート、スーパー等の実演販売、イベント会場への出店と、車二台、スタッフ五人を総動員しての普及販売に努める。単価四〇〇円だが、月に約一万枚を売っている。
最近オープンした、あさりちゃん本舗は、六年の歳月をかけ開発した新製品を車による移動型、据置きの設置型、店舗の三つの形態でFC展開した。
まずは、たこ焼き風軽食“あさりちゃん”を認知させるため、路上での販売、駐車場等遊休地の有効利用と幅広くFC会員を募集している。
移動販売車は、ミニ厨房を備えたオープンキッチンカーだけに、設備費はかかるが、動くアンテナショップとしての効力は、大いに期待されるところである。