飲食トレンド 揺れ動く野菜 競合激化の国産、海外、開発輸入物
野菜自給率は、九三年八九%、九四年は八〇%台になると見られる。
農業従事者の減少、天候による不作から代替品として補完されてきた輸入野菜だが、今やその数量は年ごとに増える傾向にある。
九四年の総野菜輸入量一六二万九七〇〇tは前年比二六・一%増、そのうち生鮮野菜は五五万三七九二tで六八・四%増、冷凍野菜四五万八九五六tで一四・六%増と大幅な増加を示した。
大きく伸びたものに玉ネギ、カボチャ、ブロッコリー、アスパラガス、ニンジン、カブなどがあげられる。
このほか、輸送技術の発達により葉物のレタス、キャベツ、セロリ、チコリ、ネギ類など種目の幅を広げると同時に輸入量も一五〇%~一九七%と急激な伸びを示している。
野菜供給の流れはますます多様化している。年々低下する自給率が示すように、供給先は、国内産だけでなく、海外に依存した輸入物に比重が傾くのは必至。こうした自給率低下を憂慮し、企業自らが農業の企業化を目指し“野菜工場”を設立、絶ゆまぬ研究努力により、天候の影響を受けず周年安定供給、しかも同一品質で大量生産できる工場野菜を商品化させた。半面、国内産に頼らず、円高に対応し海外産野菜を積極的に輸入する動きや、日本の種子を現地に持ち込み生産した野菜の開発輸入など、野菜供給ルートはさまざまだ。今後、こうした海外依存型野菜と国内生産野菜がどう棲み分けをするか注目されるところだ。
生鮮野菜は不安定な食材とされているが、海外からの代替補完、またユーザーが直接海外へ日本人の味覚に合わせた種子を持ち込み契約栽培し輸入する開発輸入も加速化するなど、供給ルートは多岐にわたる。
こうした海外依存率を少しでも低下させ、安全な野菜を安定供給しようとしているのが、農業に企業が参入し、大量生産できる植物工場だ。
まだ商品化されている品種は少ないが、将来はコメ、果菜にまでと夢を馳せている。
ニーズに応じて露地栽培、水耕栽培、バイオ栽培などで生産される国内産と、これまたニーズに応じて外国産の低価格品、日本企業の指導により国内産と変わらぬ品質を持つ開発輸入品との競合は、今後ますます激化するだろう。
これを後押ししているのが輸送技術の進歩だ。冷凍、生鮮などさまざまな形で国内産へ攻勢をかけている。
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