人手不足解消法(8)現実的人材確保のノウハウ
今回は、外食産業に対する人材供給源として考えられてきた、調理師学校からの人材の導入について考えてみることにしたい。
調理師学校はその名の示す通り、外食産業に対して人材を供給することを目的として設立され、運営されてきた教育機関ではあるが、その実態を知るものは、意外と少ないのが現状である。
巷においてあるいは耳にしたことがあるかもしれないが、まずその資質内容については、あまり評判は芳しくはない。いわく調理師学校卒業生はあまり使いものにならない、何もできない、店に来てから教えている等々の話が多い。
なぜこんなうわさが口の端にのぼるのであろうか。それは、調理法に基いた設置基準に従って設立されたその基準そのものが、旧態然として時代に合わなくなっているにもかかわらず、依然として古い基準がまかり通っていることによる。
外食産業においては、それぞれが専門化しているにもかかわらず、料理師学校の実習授業は、日本料理も中国料理も西洋料理も、さらにはお菓子さえも、同じ教室で行わなければならない。
それぞれの料理の特徴を満たすためには、専門料理の授業を行える設備が必要であるが、設備の審査が法の基準を満たしていればいいとされているため、一向に改善されない。カリキュラムの内容も同様に、調理師としての勉強期間がわずか一年しかないのに、その期間に全分野の調理を学ぶシステムになっている。
加えて調理師学校が営利を目的とする私学であるため、運営が“もうけ主義”に走り、すべての面にわたり利益優先である。実例を挙げれば、魚のおろし方一つ取ってみても、グループに一匹の魚を与え、四、五人の学生でそれをおろす実習をするというのが実態である。
繰り返し演練することによって修得することが技能であって、頭脳的に技能を得ることが難しいとしたならば、一回の実習時間がデモスストレーションから始まり、片付けに至るまで約四時間、そして年間に実施される調理師学校の調理実習の時間を考えてみるならば、調理師学校卒業時の技能がどの程度のものであるかは、容易に計り知ることができるといっても過言ではない。
しからば、もっと材料を与えてやれば良いではないかといった議論もあるが、これとておろした魚の四分の一程度を試食し、三分の一の学生倍数が残り、それが何クラスも一日に実施されるとなれば大きな問題である。
しかしながらもっと大きな問題は、これらのことを十年一日のごとく、なんら改善の道をさがそうとしないで現状のままにしている監督官庁、学校の罪は大きい。
また調理師学校入校者の資質の問題についても、考えてみるべきである。近年問題となっている高校中途退学者の増大の問題である。これは普通高校だけの問題ではなく、調理師学校でも驚くべき数字となっている。それは普通高校以上に、問題をかかえている。
よく「調理師学校などは、目的意識をもった人間の集まりだから、ほとんど落ちこぼれがなくて良いだろう」といった話が聞かれるが、本当はどうだろうか。調理師学校を本当に望んで入校するものの数はわずかであって、大学や高校に不合格となり、入学できなかった者、素行不良で調理師くらいしか道がないと親や周囲からいわれ、仕方なく入校を決めた者がほとんどを占めている。
従って学校が、良好な受け皿を準備したとしても難しいところへ、さらに入学者がそんな状態では卒業生に対する期待が過大であるとしかいいようがない。その辺も採用する側としては、よくよく検討することが必要である。
さらにここで述べておかなければならないことは、調理師学校と一部外食産業とのゆ着ぶりである。就職担当者や学校ぐるみの金銭的な結びつきは目にあまるものがある。飲食に接待攻勢は序の口であって、学校そのものが公然と圧力をかけ、それに応じない外食産業に対しては、求人依頼などは受け付けてくれることすら形式的になってしまっていることを、外食産業関係者は知るべきである。
他人が育成したものをもらうということから、みずからの企業において新卒の中・高・大卒者の求人を通じて育成を考えるならば、ほかにその道は開けている。東京都、県を通じ、労働省の認定を受け、補助金などの支援のもとに行われるところの企業内職業訓練校の設立、制度の活用といったものも多い。
本当に使いものになる素晴らしい調理師を育成するには、こんな制度についても考え、調理師学校だのみの人材確保計画については、もう一度考え直してはどうだろうか。
(職業訓練校の設立についてもどうぞご相談下さい)














