徹底研究-インド料理文化 北部はパン、東・南部はコメ

1992.07.20 8号 12面

インダス文明の昔から、さまざまな民族が来住、混交して今日に至ったのがインドである。膚の色も千着万別、言語にしても「一二マイルごとに異なる」といわれるほど数多い。したがって食文化も多種多様である。地方によって、また、宗教やカーストによって名称も違えば味もまた微妙に異なる。

インド料理の特徴は香辛料をたっぷり使った栄養価の高いものである。インドでは気候条件が人々の食習慣を形成する。北部インドでは小麦がよく育ち、肉類や牛乳、ヨーグルトが豊富。したがって小麦粉を原料とするチャパティ、パロタなどが主食。南部、東部は気温が高いため稲がよく育ち米が主食となる。インドは広い国のため、食生活は地方によって異なり、一般的に「インド料理」といったものは存在しない。しかし、伝統的な食文化としてインド料理をいくつかのカテゴリーに分けてみると北インドでは小麦が主食で肉料理に名物が多く、南インドは米が主食で野菜料理が多い。また、東部のカルカッタを中心とするベンガル地方や、アラビア海側に面したボンベイからコア、ケーララ地方にかけては、魚料理が特色。

チャパティは北インドでは食事そのものを意味して使われる主食なのである。アーターと呼ばれる全粒粉の小麦粉を水とギーで練って丸くのばし、鉄板で焼きあげる。これにはいろいろな仲間があってチャパティと同じ生地でも、ギーを塗って何層かに折り込んで焼いたものをパラタ、油で揚げたものをプーリといい、アーターを水だけで練って焼いた最も素朴なもの、また、小型のチャパティをプルカと呼ぶ。

ナンは、精製した小麦粉を水で練って発酵させてからダンドルという土の壺で焼いた大型のパンである。

北インドでは、このようなパン類をロティと総称している。野菜を練り込んだパンも作られる。

ネギ入りのピャス・キ・ロティ。じゃがいも入りのアルー・キ・ロティ。カリフラワー入りのゴービー・バラタなどがあり、ちょっとしたもてなし料理になる。パンが主食の北インドでは、それに合わせて、料理もドライタイプのものが多い。

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