惣菜弁当の殿堂(22)知念商会「オニササ」 石垣島のB級FF
◆ビニール袋内で握り合わせて食べる 5種類の調味料で大ブレーク!
“オニササ”とは、「鶏ササミフライ」と「おにぎり」を「ビニール袋」に入れて、重ねて握って食べる、石垣島のミニ食品スーパー「知念商会」のファストフード。発祥は約35年前。それまで客の注文ごとに店員がビニール袋に詰め込んでいたフライを、袋を設置してセルフサービス形式に変えたところ、近隣の高校生が鶏ササミフライとおにぎりをビニール袋の中で握り合わせて食べる方法を考案。それが高校生の昼食や間食として広まり、いまやオニササは日販500食、ほかのフライと合わせ日販1500食に達する人気ぶりだ。
●商品発祥:子守のためビニール袋を設置
発祥は、同店の次男・宏和氏が生まれた1980年頃。母親の秀子さんが赤ん坊の宏和氏を背負って売場に出るため、フライをパックに詰め込む作業を省略。ビニール袋を設置してセルフサービス形式にした。すると、知らぬ間に近隣の高校生が“オニササ”を考案。当初は部活帰りの高校生が食べる程度だったが、次第に全校生徒に広がり、その卒業生が常連客として積み重なり、約34年かけて名物に発展した。
●調理概要:ポークなら“オニポー” コロッケなら“オニコロ”
“オニササ”という愛称で有名だが、実はオニササという商品はない。「鶏ササミフライ」と「おにぎり」を「ビニール袋」の中で重ねて握って食べることを通称・オニササという。作り方は写真参照。
鶏ササミフライのほかにフライ26種、おにぎりのほかにジューシーおにぎりがあり、客はこれらを好みに組み合わせて同様に食べる。おにぎりとポークなら“オニポー”、コロッケなら“オニコロ”、ハムカツなら“オニハム”となる。
●販売実績:午前7時~午後5時でほぼ完売
オニササは日販500食、オニポーやオニコロを含めると日販1500食以上。朝7時の開店から9時頃は、出勤途中のドライバーが多く立ち寄り、昼時は近隣の高校生が一斉に押し寄せ、午後3時以降は帰宅途中の高校生が間食に訪れる。休日は子ども連れの家族客も多く、昨年、新石垣空港が開港してからは観光客も目立ち始めている。毎日、午後5時過ぎには、ほぼ完売するという人気ぶりだ。同店(本店)のほか「宮良支店」でも同様に販売しており、支店実績は本店の2~3割だという。
●ポイント:息子のアイデアで急拡大
約20年前、5種類の調味料(ソース、マヨネーズ、ケチャップ、醤油、塩)を設置したころから客数が急増した。
秀子さんは「それまではソースだけでしたが、高校進学した息子の要望を聞いて調味料を追加したところ、お客さんが急増しました。揚げ物売り場のウォーマーケースは1台から3台に、フライの種類もお客さんのリクエストに応えているうちに数種類から26種類にまで増えました」と振り返る。
◆オニササの作り方
(1)ビニール袋に手を入れて、鶏ササミフライをつかみ、ビニール袋を反転させてフライを中に入れる。鶏ササミフライの肉は100g
(2)鶏ササミフライに好みの調味料をかける。調味料はソース、マヨネーズ、ニンニク味ソース、ケチャップ、醤油の順に人気。
(3)おにぎりを鶏ササミフライに重ねる。おにぎりは、ふりかけ(海苔玉)をまぶしたものと、自家製ジューシーの2種類。いずれも60円
(4)ビニール袋の外側からおにぎりを押しつぶし、鶏ササミフライと密着させ、好みに成形する。完成したらレジで会計
◆店舗概要
「知念商会」 所在地=沖縄県石垣市登野城1249-18/創業=1980年/営業時間=午前7時~午後9時、無休(元旦のみ休業)/店舗坪=80坪/1日集客数=1000人/従業員数=30人