業界ニュース:ワタミ、肉業態シフト鮮明に 焼肉・唐揚げ多店舗化へ拍車

2021.04.05 506号 07面

居酒屋「和民」「坐和民」の全21店舗を21年3月までに焼肉店へ業態転換する

居酒屋「和民」「坐和民」の全21店舗を21年3月までに焼肉店へ業態転換する

「から揚げの天才」の「からたま弁当(3個・ライス付き)」(537円・税込み)

「から揚げの天才」の「からたま弁当(3個・ライス付き)」(537円・税込み)

「bb.qオリーブチキンカフェ」の「オリーブチキン(骨付き)」(1ピース290円・税込み)

「bb.qオリーブチキンカフェ」の「オリーブチキン(骨付き)」(1ピース290円・税込み)

 ワタミは牛肉と鶏肉を掲げる肉業態に本腰を入れる。焼肉業態の「焼肉の和民」と「かみむら牧場」、唐揚げ業態の「から揚げの天才」と「bb.qオリーブチキンカフェ」、計4業態の新規出店を加速させ、近年中に4業態で約420店舗・年商約470億円を目指す。2020年3月期決算で国内外食事業の売上高は約470億円(連結約920億円)。既存の主力事業と同規模の数値目標を示したことで、事業改革の本気度と肉業態へのシフトが鮮明になった。

 3月8日の記者会見での渡邉美樹代表取締役会長兼グループCEOの質疑応答をまとめると、近年達成を目指す各業態の目標「店名・月商・出店(3月末店舗数)」は次の通り。「焼肉の和民・1500万円・120店(23)」「かみむら牧場・2500万円・20店(3)」「から揚げの天才・500万円・200店(92)」「bb.qオリーブチキンカフェ・750万円・80店(5)」。4業態合計の目標年商は468億円に達する。

 焼肉業態は2月中旬以降、時短営業ながら既存店売上高は前年比100%を突破。換気に優れる無煙ロースターの強みに加え、特急レーンと配膳ロボによる非接触の安全性を発揮し、居酒屋対比3倍以上の実績にめどをつけた。また、外食産業で初めて「3D飛沫可視化システム」を導入し、焼肉店の換気優位を可視化で実証。さらに、コロナ禍の生産者支援を目的に「A5最高級ランク和牛食べ放題」(100分・130品・通常4380円・税抜き)を1年間限定で提供するなど、逆風を糧に生産者との連携を深め、アフターコロナの飛躍に備える方針。

 唐揚げ業態は、コロナ禍の巣ごもり需要を受け、テイクアウトとデリバリーが好調。テリー伊藤を大社長に掲げた「から揚げの天才」と、韓国発の「bb.qオリーブチキンカフェ」を両輪に積極的なFC展開に乗り出す。特に後者は世界25ヵ国で約2500店舗を誇り、日本では女性客8割以上の人気ぶりで、急速な多店舗化に自信を見せている。

 渡邉CEOは「唐揚げと焼肉は人気おかずの双璧。もはやレッドオーシャンと叫ばれるが、それだけに市場規模は大きい。定番商品の差別化はQSCに尽きる。当社は長年、居酒屋で高度なQSCを培ってきた。その地力を発揮する好機」と抱負を語った。

 また、緊急事態宣言の延長について「時短営業による感染予防の効果に疑問。根拠なき規制は再考すべき。集客密度や滞在時間を制限する方が先決だ。コロナ終息までの長期戦は必至。今後も営業に制限を課すならば、前年ベースの実績をもとに保証金を算定すべき。保証金の妥協点は粗利の半分。一律ではなく規模に応じた政策が必要だ」と持論を述べた。

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