海外通信 外食ビジネスの新発想(77)人気復興中のフォンデュ 団らんを楽しむ料理
ホウレンソウ・アーティチョーク (2人前28$、1人前ごとに14$追加) バターケーゼチーズ、フォンティーナチーズ、パルメザンチーズ、野菜ブイヨン、ホウレンソウ、アーティチョーク、ガーリック、タバスコ
コロナ禍を乗り越え、目覚ましい成長軌道を歩み続けているのがフォンデュ専門のチェーン店「メルティング・ポット」。1975年に第1号店が開店してからすでにほぼ50年も経っているが、注目を集め出したのは最近のこと。パンデミック後、同店の売上げは伸び続け、現在、アメリカ31州、カナダ、メキシコに100店舗以上を展開。さらに17店の海外店舗が展開される予定だ。フォンデュという、あまり一般的ではない、どちらかといえばシンプルで地味な料理がなぜ人気を集め始めたのだろう。
同チェーンのCEOが「メルティング・ポットは人とのつながりがすべてです。コロナ禍の最中、人々が飢えていたのはまさに人とのつながりでした」と言っている通り、フォンデュ鍋を囲みながら会話を交わし団らんを楽しむという、食事以上のものを楽しめることがポイントらしい。フォンデュというと寒い地方で好まれると思われがちだが、第1号店が生まれたのもフロリダならば、現在、最も多く店舗があるのもフロリダ。フロリダには15店舗が展開している。
店側にとっても、フォンデュは客がめいめい自分たちで調理するから手間がかからない。デザートも、チョコレートフォンデュで賄える。
店によって若干異なるがフォンデュのメニューは、「ウィスコンシン・チェダー」(熟成チェダーチーズ、エメンタラーチーズ、ラガービール、ガーリック)、「ホウレンソウ・アーティチョーク」(バターケーゼチーズ、フォンティーナチーズ、パルメザンチーズ、野菜ブイヨン、ホウレンソウ、アーティチョーク、ガーリック、タバスコ)、「ベーコン&ブリー」(ベビーブリーチーズ、グリュイエールチーズ、ラクレットチーズ、フォンティーナチーズ、白ワイン、ベーコン、レモン、ネギ)など。パンと季節のフルーツと野菜が付いて一律2人前(28$)から。1人前ごとに14$追加となる。
また、フォンデュのほかに、ステーキや海と山の幸などのアントレがあり、焼肉店のように自分で調理し、好みのディッピング・ソースに付けて食べるチョイスもある。
アラカルトのほか、セットメニューも充実しており、「ビッグ・ナイト・アウト・ディナー」(2人前125$)は、チーズフォンデュ、サラダ、アントレ、チョコレートフォンデュの4コース。各コースとも好みのチョイスを選ぶ。
多人数で行ってもリーズナブルに抑えることができるし、何よりも、ゆったり楽しむことができる。外食にコンフォートやエンターテインメントを求める傾向が強くなった今や、今後も同チェーン店は、店舗を増やしていきそうだ。
※価格はニューヨーク州ファーミングデールのもの
●店舗情報
「メルティング・ポット(Melting Pot)」
本社所在地=フロリダ州タンパ
Photos:Courtesy of the Melting Pot