海外通信 外食ビジネスの新発想(85)おしゃれなパリのおにぎり屋
●ヘルシーな“ライス・スナック” 国境を越えたフュージョン具材
日本の寿司が普及した後、ラーメンが普及、そして次は、ひょっとしたらおにぎりかもしれない。ニューヨークのオフィス街にある日本食品店は、昼時になると、狭いスペースでおにぎりを3~4人がかりで大量に握っている。ウナギやエビ天、鮭、スパムなど、ボリュームたっぷりのおにぎりだ。
おにぎりは、グルテンフリーで、ヘルシーなライス・スナック。ピザやハンバーガー同様、ナイフやフォークを使わずに手で食べることができるし、具も嗜好に応じて変えることができるから、普及する可能性が高い。
さて、ニューヨークにもおにぎり屋がいくつかできたが、大西洋の向こう、ヨーロッパでも少しずつ認知度が高まっているらしい。花の都、パリにもおにぎり屋が登場している。その一つが「オニギリズ」。フランス人が経営する同店では、ユニークなおにぎりを展開している。「東京からパリへ~ライス・スナック」がうたい文句だ。
メニューは毎週月曜日に変わり、基本的には4種類のおにぎり(肉1種類、魚1種類、鶏肉1種類、ヴィーガン1種類)を用意している。そのうちの一つ「ヴィーガン」は、グルテンフリー、乳製品フリーなどさまざま食嗜好に対応するようにしている。おにぎりはバラ売りで1個4ユーロ。メニューは、季節の食材を取り入れたり、同じおにぎりを短い期間で提供しないようにスケジュールを考慮したりと工夫している。
オーナーのトム・コルドバさんの実家は、2006年にパリにヨーロッパ初の漫画喫茶をオープン。日本に留学したこともあり、日本文化に親しんできた。「おにぎりを健康的でバランスの取れた、ファストフードに代わる手頃な食べ物だと考えています。ヘルシーな食事をする時間も選択肢も予算もないことが多い忙しいお客さまに、新鮮でバラエティーに富んだランチを提供したいと考えています」と言う。
ツナマヨネーズや鮭など日本の人気おにぎりのほか、ユニークな具のオリジナルおにぎりも。例えば、カンパオ・カリフラワー(ローストしたカリフラワーにピーナツとショウガの甘辛ソースをかけたもの)、卵焼きソーセージ(スクランブルした卵と燻製ソーセージ)、チミチュリチキン(骨なしの鶏もも肉を自家製チミチュリソースに漬け込み、グリルしたもの)、味噌プルドポーク(豚肩ロースを味噌のスープでじっくり煮込んだもの)など。国境を越えたフュージョンおにぎりが売り物だ。
また、バラ売りのおにぎりのほか、同店では、弁当も提供している。おにぎり1個、おばんざい1つ(味噌ナス、ホウレンソウのおひたし、キュウリの漬物など)、フライの盛り合わせ(手羽先、ヴィーガン・ポテトコロッケなど)、和風のサイドメニュー(自家製カレー、自家製味噌汁など)のセットメニューで14.5ユーロだ。
●店舗情報
「オニギリズ(Onigiriz)」
所在地=6 place Estienne d’Orves 75004 Paris France