アパレルに学ぶ盛り付けのヒント:“空気”から生まれた糸、実用化へ

2026.06.01 568号 06面
パリのショーで40点に空気の糸を使って見せた「ダブレット」

パリのショーで40点に空気の糸を使って見せた「ダブレット」

●リサイクルにも期待の新素材

空気を原料に糸を作る–まさかと思われそうな新素材の応用が始まりました。空気中のCO2(二酸化炭素)やバイオマス由来の原料で作る繊維が、26~27年秋冬のパリ・メンズファッションウィークで披露されたのです。井野将之氏がデザインする「ダブレット」が、「エアー」をテーマに40点見せました。

新素材の名称は、「ゼフィール」。プレジール(大阪府豊中市)が三菱ガス化学や京都工芸繊維大学と協力して開発したポリアセタール(POM)樹脂を活用した繊維です。POMはプラスチック材料の一つ。抗菌性や耐薬品性、耐摩耗性、接触冷感性、速乾性などの機能があり、天然ガス由来のメタノールで作るのが一般的ですが、ゼフィールはCO2やバイオマス由来なのが特徴です。

ようやく量産化のめどが立つまで約20年。通常、POMは染色できませんが、染色を促す添加剤で工夫し、染まりやすくしたことで、繊維製品への応用の期待が高まりました。

リサイクルのしやすさも、注目です。POMは摂氏40~60度の酸性水に入れるとホルマリンになり、工業用の接着剤や樹脂の原料として再利用でき、繊維化も可能です。他の合成繊維はケミカルリサイクルの際に多大な熱エネルギーや薬剤を使うのに対し、それが不要。環境配慮の観点でも将来性があるため、さらに実用化に向けた研究が続きそうです。

(繊研新聞社 取締役編集局長 若狭純子)

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