外食の潮流を読む(132)串カツ田中HDからユニシアHDへ 新社名に込めたグローバル化戦略

2026.06.01 568号 11面

この3月1日、串カツ田中ホールディングスが、社名をユニシアホールディングスに変更した。「ユニシア」の「ユニ」とは「一つの」という意味。「シア」とは「海」のイメージ。海には、いろいろなものが溶け込んでいる。そこで、「ここから世界に行こう!」というメッセージを込めている。

串カツ田中HDの2025年11月期決算は、210億9100万円(対前期比25.1%増)、経常利益12億3600万円(同46.1%増)、同期末の店舗数は、総店舗数が357(うち「串カツ田中」が344)となっている。実に好調だ。

「串カツ田中」は、貫啓二氏(55歳)が08年12月東京・世田谷区内に1号店をオープンした。16年9月東証マザーズ市場に上場。18年7月に200店舗達成(FC店含む)。19年6月、東京証券取引所市場第一部に指定変えを行った。

22年6月に同社のCFOとして貫氏がスカウトした坂本壽男氏が、代表取締役社長に就任した。貫氏は代表権のない社長に就任している。

さて、24年9月、貫氏は代表に復活。貫氏と坂本氏の2人代表となった。その後の貫氏の動きは次の通りだ。

まず、インバウンドを獲得するために、23年8月「天のめし」ブランドを京都・祇園に立ち上げた。この業態は、今、京都に6店舗展開している。そして26年1月、LAに「天のめし」の「とんかつ」をオープンした。

メインの「串カツ田中」では、25年4月より「無限ニンニクホルモン串」をメニュー化した。ポイントは、「1本55円の低価格串で、誰もが注文する新名物として開発した」ということ。そして、累計1400万本を売った。2700円だった客単価は102%に増え、来客数は118%になった。

25年9月に「脱・串カツ田中」を宣言。さらに、「リゾート気分で本格イタリアンを」とうたうファミリーレストランの「ピソラ」を子会社化することも発表した。

貫氏は、こう語る。

「これは、『当社が進む道』ということ。今後事業領域を拡大して、さらにグローバルに出ていくことを目標にしている。そのためには『串カツ田中』を変革していく。ピソラの子会社化も、そのため」

旧串カツ田中HDは、この「ピソラ」(当時60店舗)を25年12月に約95億円で完全子会社化した(26年1月末時点で63店舗、うちFC12 店舗)。「ピソラ」の客単価は2500円から3000円。その成長性に対する評価は、このM&Aの金額に表れている。

さらに自社で、「厚とん」(25年5月、客単価2700円)と「ザ・メンチ」(26年2月、同1980円)という食事業態を開発した。

「『ピソラ』がやっていることと、新業態の食事業態は、当社が『一つ上の暮らし』の提案。さらに、グローバル化を視野に入れている」という。

ユニシアHDのタグライン(ブランドの核となる言葉)とは、「世界へ挑む、日本の力。ユニシア」ということ。これからの動向が楽しみな外食企業である。

(フードフォーラム代表・千葉哲幸)

◆ちば・てつゆき=柴田書店「月刊食堂」、商業界「飲食店経営」の元編集長。現在、フードサービス・ジャーナリストとして、取材・執筆・セミナー活動を展開。

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