メニュートレンド:スパピザ イタリア二大主食をドッキング 「ホフブロウ」

2011.09.05 390号 03面
鉄板にミートソースを敷く。その上に軽くオリーブオイルで炒めたパスタ、エビ、ベーコン、玉ネギ、ピーマンなどの具材が重なり、再びミートソース。一番上に2種類のチーズをのせてオーブンへ

鉄板にミートソースを敷く。その上に軽くオリーブオイルで炒めたパスタ、エビ、ベーコン、玉ネギ、ピーマンなどの具材が重なり、再びミートソース。一番上に2種類のチーズをのせてオーブンへ

港町横浜の趣を残すレトロな内装。山下公園のすぐ近くに立地し、平日は近隣に勤めるビジネスマンや地元客、休日は観光客が訪れる

港町横浜の趣を残すレトロな内装。山下公園のすぐ近くに立地し、平日は近隣に勤めるビジネスマンや地元客、休日は観光客が訪れる

 日本で何十年も前からポピュラーであり続けているイタリア料理といえばスパゲティとピザだ。昨年開港150周年を迎えた横浜山下公園近くにある老舗洋食店で、この二大料理を融合させた名物メニューが半世紀以上愛されているという。その名も「スパピザ」。黒船来航以来、「あんパン」「カレーライス」など、日本人は洋の食文化をたくみに和食化してきた。欧米文化が根付いた横浜ならではの和魂洋才メニューは、今も地元住民やビジネスマンのおなかを満たし続けている。

 ◆パスタとピザのウマイとこどり! 地元客・ビジネスマンに人気

 ステーキ用の鉄板皿の上に山盛りになって運ばれてくるパスタは、上一面にとろけるチーズにすっぽりと覆われているためまったく見えない。このチーズのカーテンを開いてみると、中から香ばしい香りや湯気とともに昔ながらのナポリタンが姿をみせる。

 「創業当時から60年、変わらぬレシピで作りつづけています。この味を二代三代と愛し続けてくださる地元の方がたくさんいますし、横浜を離れたお客さまでも数十年ぶりに懐かしんで立ち寄ってくださる方もいらっしゃいます」とオーナーの上田フサ子さん。そんな郷愁をそそるエピソードもあるが、今の世代にもしっかりと支持を得ている。ランチ時は近隣の会社員や女性グループが多く、1日平均約30食。ディナーと合わせて70~80食。GWなど繁忙期には近くのみなとみらいや中華街を訪れた観光客などが来店、100食超出るほどの人気ぶりが半世紀以上続いている。

 麺だけでたっぷり200gとボリュームも満点。ランチでは1人でペロリと平らげる男性客もいるが、夜は他のメニューを楽しみながらシェアして食べる客が多いという。

 ミートソースはシェフが4時間もかけてつくる。食べあきないやさしい味わいのため、見た目のインパクトほどおなかにもたれることはない。時間もコストもかかってしまうが、「先代の味を受け継ぐことはもちろんだが、この味を何年何十年と支持してくれるお客さまがたくさんいる」と、かたくなに味を守り続ける。

 同店の初代オーナーはハンガリー人とロシア人の夫婦だったが、引退を惜しむ地元客の声に応えて店舗のあるビルオーナーが経営を引き継いだ。メニューやレシピも当時の味を守り続けていて、レトロな店構えと味が観光客にも人気だ。

 ●店舗情報

 「ホフブロウ」 所在地=神奈川県横浜市中区山下町25 上田ビル1F、電話045・662・1106/経営=(有)上田ビル/開業=1951年/営業時間=午前11時半~午後1時半、5時~9時半、土・日・祝午前11時半~午後9時半、月曜休/坪数・席数=約33坪、50席/客単価=ランチ800円~、ディナー約2000円

 ●愛用食材・資材:「タバスコ」

 PBIジャパン(東京都港区西麻布)

 スパピザ用のソースはチーズやオイルとのバランスを考慮して、トマトの酸味が立ったテイストに仕立てている。「ソースの味を決めているのがタバスコです。これでソースの味がグッと引き締まるんです」とシェフの相崎さん。スパピザのミートソースは、100リットル以上入る大型の寸胴鍋で作られるが、そこにタバスコ200ml近くを入れるという。ご存じのとおりスパゲティやピザにかけて食べる定番スパイスだが、ソースの風味付けとしても活躍する。

 規格=60ml、350ml

購読プランはこちら

非会員の方はこちら

続きを読む

会員の方はこちら

関連ワード: メニュートレンド