アポなし!新業態チェック(19)チャイニーズバル「爆麺 闇雲堂」
去る2008年3月6日、東京・港区に開業した商業施設「赤坂BizタワーSHOPS&DINING」に、(株)ダイヤモンドダイニングが新感覚のチャイニーズバル業態「爆麺 闇雲堂」(ばおめん やみくもどう)をオープンした。
同店は「麺」を主体としたカウンタースタイルの業態。焼きそば風の中華麺と揚げたてのおこげの上に、スタッフがあんをかける、という演出でシズル感を訴える「爆麺」(1000円)が看板メニューだ。
ランチタイムには、ほかに「闇雲焼きそば」(700円)、もち米を入れた「こぶくろ焼売」(500円)を加えた3アイテムを提供する。夜間はこのほかに、棒々鶏やザーサイといった中国料理のつまみ(各500円)を用意し、ビール(450円から)のほか、紹興酒(500円)や7種類の果実酒(各450円)、サワー(450円から)、カクテル(各550円)などのアルコール飲料をそろえた中華風の居酒屋として営業する。
内装は黒を基調とし、カウンタートップには中国美人のイラスト、壁面には紹興酒の壺が飾られ、「長命」の意味合いを持つ文字「長」と同じ発音であることから長寿のシンボルとされる「蝶」をモチーフとしたデザインがあやしく舞う。
同店は店舗面積が約8坪という同社で最小の店舗。同施設の地下1階には、こうしたビジネスパーソン向けのカウンター屋台風の飲食店舗がいくつも出店しており、赤坂の最新商業施設というロケーションの中で異彩を放ちながら、各店が周辺の勤務者たちの獲得にしのぎを削っている。
★けんじの評価
このところ、外食チェーンの新業態は商業施設内の出店ばかりだ。オーバーストアと言われつつも、この外食不景気の中、独立店で新業態を試すという丁半ばくちに打って出るよりは、確実に開業景気が見込める商業施設内の出店の方が数字を読めるということだろうか。都内各地の大型開発に少し出遅れて、赤坂地区の再開発がやっと本格的に始動し始めた。その皮切りが旧TBSの跡地を利用した「赤坂サカス」だが、その中の商業施設「赤坂Bizタワー」が全体のオープンに先立って開業。もともと商業施設デベロッパーの「新業態好み」はよく知られるところだが、全46テナントのうち新業態がかなりの比率を占めている。
なかでも注目を集めているのは、ここ数年、「100店舗、100業態」のキャッチフレーズで多くのメディアに登場したダイヤモンドダイニングが、おそらく初めてのカウンター式中華麺業態を出店したことだ。小型店のオペレーションは確立途上なのか、休日前の夜、小さな店舗内をスタッフが4人で回している。什器の配置もかなりキツそうで、カウンター席からは内部がすべて丸見えなのが少し残念。
同店の「爆麺」とは、言ってみれば「あんかけ揚げおこげ」と「あんかけ焼きそば」とを一緒にした、「1粒で2度おいしい」といった感じの商品。もしフードコートなどで、このおこげと焼きそばを別々に、それぞれワンコインぐらいで食べられるなら、絶対ファンになるのにと思ってしまったのだが、次の業態にぜひ検討してはもらえないだろうか。
(外食ジャーナリスト 鷲見けんじ)
●店舗概要
店名=チャイニーズバル「爆麺 闇雲堂」(ばおめん やみくもどう)/開業=2008年3月6日/所在地=東京都港区赤坂5-3-1 赤坂BizタワーB1階/席数=14席
◆鷲見けんじ=外食チェーン黎明期から、FFやFRなどの動向を消費者の目線で見続けてきたアンチグルメな庶民派ジャーナリスト。甘口辛口を取り混ぜた乱筆乱文でチェーンの新業態をチェック。