宅配サービスの注目株(17)SALVATORE CUOMO JAPAN「ピッツァ サルヴァトーレ クオモ」
薪で焼き上げた、薄くてモチモチした生地のナポリピザを日本に広めた、サルヴァトーレ・クオモ氏プロデュースのピッツェリア「ピッツァ サルヴァトーレ クオモ」。ナポリでのピザ世界コンペティションに出場した社内選抜チームが連続受賞を果たすほど、品質の高い商品を提供している。こうした本格的ピザを家庭でも楽しめる宅配サービスが大好評という。
「ピッツァ サルヴァトーレ クオモ」の1号店、永田町店が宅配サービスを始めたのは、開業した2002年12月から1年を過ぎたころのこと。
「常連のお客さまから宅配ニーズが多く、また、同店はオフィス立地のため、客数が極端に少なくなる週末の売上げアップの狙いもあり、試験的に宅配サービスを始めました」と語るのは同社の飯島崇取締役。
通常営業のテコ入れ策として始めたが、予想以上に好評だったため、2004年4月、デリバリー併設の白金店をオープン。レストラン部門とは別に、受注システムとパッケージなどを行うデリバリー専用の動線を整え、本格的に宅配サービスを開始した。
白金店の初年度平均月商は1200万円(レストラン部門含む)。口コミなどで認知度が高まり、宅配が全体売上げの7割に達することもあったが、現在は6割程度に落ち着いている。以後、イートインと宅配の相乗効果で前年比20%増の成長を続けており、いまや平均月商は2500万円にも達するという。
飯島氏によると、宅配部門の事業化に成功した理由は2つある。
1つは、レストランとして店を構え、オープンキッチンで焼き上げる調理姿が見えるため、安心して注文してもらえたこと。
もう1つは、創業者サルヴァトーレ氏の思いだ。ナポリピザは、現地では1日1枚食べられるというほど、カロリーも少なく、手作りで安心なスローフード。未来の日本を背負う子どもたち、その子どもたちを育てる女性に食べてほしい、という願いだ。
実際、子育て中で、外食を控えている20~30代女性からの支持が多く、「レストランの味を家でも楽しめる」と大変好評だ。
味だけではなく、「レストランでのサービス同様、電話応対や配達時にもイタリア語のあいさつを織り交ぜるなどの雰囲気づくりも大切にしています」と飯島氏。
また、年4回配布するポスティングチラシはクオリティーにこだわり、あくまでもレストランからの派生したサービスというスタンスを守っている。
現在、首都圏を中心に東海、近畿を含め38店舗を展開し、32店舗で宅配を併設営業している。将来的には150店舗の展開を目標としているが、「宅配はレストランのサービスの一環なので、宅配専門店は考えていない」と飯島氏。
一方、2008年10月には海外進出第1号店として上海店をオープン。これを足がかりに海外展開も進めていくという。
◆「PIZZA SALVATORE CUOMO」概要
経営= (株) SALVATORE CUOMO JAPAN/本社所在地=東京都港区六本木6-1-20/企業年商=37億円/店舗数=「PIZZA SALVATORE CUOMO」「伊太利亜市場B・A・R」など48店舗(直営34、FC14)