「世界パティスリー2009」盛況 開催国日本、優勝の快挙 ピエスモンテで強み発揮

2009.04.06 355号 05面
日本チーム選手3人とアメ細工(左)、チョコレート(右)のピエスモンテ

日本チーム選手3人とアメ細工(左)、チョコレート(右)のピエスモンテ

2日間ハイレベルな戦いを展開した

2日間ハイレベルな戦いを展開した

 東アジア初のスイーツ国際大会「世界パティスリー2009」が3月14、15の両日開催され、開催国の日本が優勝の快挙を成し遂げた。味覚審査、作業審査で高い評価を得たことに加え、得意のピエスモンテ2種で特別賞を獲得、総合成績を押し上げた。準優勝にはフランス、3位にはアメリカが入賞したほか、シンガポールなど新興国の活躍も目立った大会となった。

 日本チームは選手団に秋城俊徳氏(帝国ホテル)、鍋田幸宏氏(レコールバンタン)、野田朋宏氏(アンテノール)の若手3人を選出。初日のアントルメ味覚審査で高得点をマークすると、2日目も作業審査やピエスモンテなどの重要課題で高得点を記録した。

 祈願の優勝にチームキャプテンの秋城氏は「アメ細工ピエスモンテの高い評価が素直にうれしい。今までいただいたアドバイスに感謝している」。

 チョコレートに強い鍋田氏は「チョコレートピエスモンテでの特別賞は正直なところ獲得できるとは思わなかったので、とても驚いている。味覚面での反省材料を今後に生かしたい」。

 万能的センスで選出された野田氏は「アントルメには特にこだわった。チームメートの2人に感謝したい」と喜びを語った。

 優勝候補のフランスは味覚審査で前評判通りの実力を発揮、終盤戦まで日本と互角の首位争いを展開した。3位のアメリカは入賞決定の瞬間、歓喜の声を爆発させた。特別賞はチョコレート・アメ細工の両ピエスモンテ部門は日本がダブル受賞を果たし、味覚部門はフランス、チームワーク部門には新興国のシンガポールが選出された。

 同大会は、開催国日本のほかフランス、アメリカ、イタリア、オーストラリア、中国、シンガポール、マレーシアの8ヵ国が参加。スイーツの2大国際大会として知られる仏「クープ・デュ・モンド」、米「WPTC」に続く世界大会として、大会実行委員会、フジテレビ、読売新聞社、日本食糧新聞社が主催した。

 ○常陸宮正仁親王殿下 世界パティスリー2009組織委員会名誉総裁 発展の輪の広がりに期待

 東アジア初のパティシエ競技の祭典が無事終了したことを心から喜び、関係者の皆さんに敬意を表します。選手団の皆さまには心から祝意を表します。競技の舞台に立たれた8ヵ国の選手団の作品は、今回のテーマ「エコロジー」に沿い、各国の独自性を発揮し、スイーツを通じ、豊かな食文化を発信され、多くの人々に感動を与えたものと思います。今後この大会が、末永く継続され、世界大会にふさわしくさらに発展の輪が広がることを期待してやみません。

 ○オープニングあいさつ

 ◆森喜朗・組織委員会総裁(衆議院議員・元総理大臣) 日本経済支える役割に

 組織委員会総裁とは飾りみたいなものです。しかし、お菓子の勉強は随分とできました。ケーキは年間約5000億円市場だそうで、今野正義実行委員会委員長の話では、今年、ケーキは和菓子を抜くかもしれないとのことです。和の文化と洋の文化、東西の文化を一緒にさせるところに日本の妙があります。「わび」「さび」など文化が入っている和菓子と洋菓子がどう融合するのか。新しい産業として日本経済を支える大きな役割を期待します。

 ◆島村宜伸・組織委員会会長(衆議院議員・元農水大臣) 世界3大大会へ飛躍を

 日本にもアジアにもなかったパティシエの国際大会が初めて実現し、大変喜びを感じております。今年は天皇陛下ご在位20年、ご成婚50年の記念すべき年でもあり、大変素晴らしい華を添える良い企画になろうかと思います。本大会は主催のフジテレビジョン、読売新聞社、日本食糧新聞社に加え、50社余りの企業にそれぞれの立場からご協力をいただき、実現したものです。今後は世界最高権威と評される「クープ・デュ・モンド」「WPTC」と並ぶ3大コンテストになることを心から願っております。

 ◆今野正義・実行委員会委員長(日本食糧新聞社社長) 新しい歴史の扉を開く

 日本を含む8ヵ国の世界最高水準のパティシエの皆さま、東アジア初めての日本での大会にようこそご参加いただきました。実行委員会を代表して心から歓迎のメッセージを贈ります。世界パティスリー2009は今、入り口に入ったばかりです。皆さまのおかげで、新しい歴史の扉を開くことができました。世界のトップパティシエの皆さまを通じて国際食文化の流通、交流、新しいメニュー創造やスイーツ文化の地位向上を果たしたいと心に誓っています。記録と記憶に残る意義深い大会となることを期待します。この大会が地球規模で継続され、さらに内容も深化できるよう私たちも努力を重ねます。

 ○協賛企業代表あいさつ

 日比孝吉・めいらくグループ代表兼CEO 夢を届ける食べる芸術

 新聞に講道館館長の談話で柔道人口がパティスリー発祥の国フランスで50万人になっていると出ていました。日本は20万人であり、日本の国技は海外で大きく花開いています。フランスといえば芸術の都でありますが、芸術には聞く芸術、見る芸術、食べる芸術があります。この3つの中で食べる芸術、命を預かる味の芸術が一番大事ではないでしょうか。中でも、洋菓子を作るパティスリーは世界に平和と夢を届ける最高の芸術です。2日間、世界トップクラスのパティシエたちが技を競い、私たちはたくさんの感動をいただきました。このご縁を、宝に育んでいける大会でありたいと願っています。

 ○来賓代表祝辞 石破茂・農林水産大臣 お菓子作りは夢と平和

 大会が大成功に終わり、心からお慶び申し上げます。19世紀だと思うのですが、菓子職人の神様と呼ばれた方が残した言葉に「お菓子づくりは、世界の芸術の中で最高のものであり、文化である」というのがあります。お菓子作りは、ある意味で夢であり、文化であり、そして政治であるのかもしれません。ただ一つだけはっきりしているのは、平和で豊かな時でなければお菓子というのは発展しません。お菓子を一言でいえば、夢と平和であるということです。この大会の成功がさらに世界を豊かにし、平和になる原動力となりますよう、心よりお祈り申し上げます。

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