電化厨房特集:カフェ電化厨房最前線=良品計画「Meal MUJI 有楽町店」

2009.05.01 356号 03面
フライヤーやオーブンを使用しても、厨房内は常に快適な室温に保たれているという

フライヤーやオーブンを使用しても、厨房内は常に快適な室温に保たれているという

Meal MUJI・有楽町店 木原誠店長

Meal MUJI・有楽町店 木原誠店長

 1980年のスタート以来、今では雑貨や生活用品をはじめ7000アイテムを超える商品を持ち、海外でも人気の「無印良品」。2000年にはカフェ・ミール事業部が発足し、現在では「Meal MUJI」「Cafe MUJI」「Cafe&Meal MUJI」の3業態の運営を行っている。13あるすべての店舗で電化厨房が採用されており、うち11店舗がオール電化。早くから電化厨房を導入した最大の理由は、「無印良品」にあるという。

 ●物販と併設店舗のため火気厳禁の条件に適合

 (株)良品計画は2000年の第1号店オープン以来、すべての店舗で電化厨房を採用しているという。

 「物販である『無印良品』との併設店舗のため、安全対策として直火の使用はやめておこうという考えでのスタートでした。そのため、電化厨房の採用は必然でした」(商品本部カフェ・ミール事業部長・井上雅至氏)

 現在、全13店舗中11店舗がオール電化だ。「可能ならば全店舗でオール電化を導入したいと考えています。しかし、商業施設内での出店のため、施設によっては電気容量が足らず、湯沸かしなどでガス機器を一部使用している店舗もあります」と井上氏。また、たとえオール電化であっても、商業施設内のため、店舗ごとにオール電化割引の適用は受けられないといった制度上の問題点もあるようだ。

 2001年11月開業の「Meal MUJI 有楽町店」は店舗面積100坪あり、オール電化を採用している。電化厨房機器に関するイニシャルコストは約3000万円で、当初は3~4年で回収の見込みだったが、実際には5年を要したという。

 ちなみに、2008年9月にオープンした「Cafe&Meal MUJI あべのand店」(大阪府)は、店舗面積44坪で厨房費用は約1500万円。店舗規模の違いがあるため、両店を単純に比較することはできないが、この7年という間に電化厨房機器類が普及してきたことにより、厨房機器自体の価格低下も初期費用の軽減に影響しているようだ。

 現在、有楽町店で使用している厨房機器は、スチームコンベクションオーブン1台、IH調理器4台、フライヤー2台、パン用デッキオーブン1台、ドゥコンディショナー1台、サラマンダー1台、ブラストチラー1台。同店の特色の一つであるデリ部門では1回の仕込みで100~150人分の調理を行うため、特にスチームコンベクションオーブンが大活躍している。また、併設のベーカリーでは、約60種類のパンを販売しているが、これらもすべて電気オーブンを使い、焼き上げられている。

 「現場では、『クリーン』と『安全』が最大のメリットのようです」と井上氏。例えば衛生面では、清掃を行いやすい、室温を一定の温度帯に保てるため衛生管理を行いやすいといった声もある。「無印良品の飲食事業が目指すもの」の一つ、「きれいで気楽に過ごせる居心地のよい空間の提供」の実現に、こうした電化厨房のメリットも役立っているのだろう。

 「無印良品」で販売するIH調理器用の調理用具を、店舗の厨房で実際に使用するといった商品テストも行われているそうだ。

 近年、顧客ニーズの多様化、高度化に対応するためのメニューづくりの必要性はますます高まっている。そのために発生する調理工程の複雑化、現場での負担増といった問題を解消する目的で、「セントラルキッチンの導入を構想中であり、実現化の際には店舗同様に電化厨房機器を揃えた設備となるだろう」と井上氏。また、今後の店舗展開においても、電化厨房以外では考えていないとのことだ。

 ◆現場のコメント:Meal MUJI 有楽町店 木原誠店長

 電化厨房機器は、従来のガス機器では説明しづらかった火加減などを数値化して表すことができるので、伝えやすく、マニュアル化しやすいですね。そのため、調理技術が身につくまでの時間も短縮しています。

 IH調理器は使用頻度が高い機器の一つで重宝しています。しかし、鍋底だけが温まるため、常にかき混ぜていないと焦げさせやすい。また、鍋の側面が温まらないため、オムレツなどはやや難しく、料理の向き/不向きがハッキリした機器だと思います。

 それから、電化厨房の経験しかないスタッフを見ていると、「加熱した鍋は熱いものだ」という感覚が薄く、危険を察知する力が育ちづらいといった新しい問題点もあるように感じますが、これは安全すぎるが故なのでしょう。

 ◆季節の食材を“まんま”使った「素の食」でバランスよくヘルシーに 「選べるデリ3品」+「十穀米」(880円)

 店では季節の食材を使い、素材のうまみを生かした「素の食」を提供している。「選べるデリ3品」(780円)は、デリコーナーに常時20種類並ぶ惣菜の中から、主菜、副菜、サラダを各1品ずつチョイス。写真は人気の組み合わせの一例「鶏の唐揚げスイートチリソース」「国産緑大豆の寄せ豆腐」「切り干し大根と有機水菜のサラダ」。ご飯またはパンを選べるが、プラス100円で十穀米に変更も可能。1日平均出数約600食。

 ◆店舗メモ

 ●「Meal MUJI 有楽町店」/所在地=東京都千代田区丸の内3-8-3 インフォス有楽町2階

 ●(株)良品計画/本社所在地=東京都豊島区東池袋4-26-3/事業内容=「無印良品」を中心とした専門店事業の運営、商品企画、開発、製造など。「Cafe MUJI」2店舗、「Meal MUJI」5店舗、「Cafe&Meal MUJI」5店舗を展開中

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