近代メニュー革新!繁盛レシピ研究所:赤坂 榮林「元祖榮林酸辣湯麺」
酸味と辛みの絶妙なバランスを味わえる酸辣湯麺が生まれたのは、実は中国ではなく、東京・赤坂にある榮林の厨房。無類の麺好きであったという初代料理長の顧春生氏が、まかないとしてたまたま酸辣湯に麺を入れてみたところ好評だったため、商品化したといわれている。その後も工夫を重ね、ついには1日に200食以上という超人気商品となった「元祖榮林酸辣湯麺」を紹介する。
◆元祖榮林酸辣湯麺(スーラータンメン)ランチ1260円/ディナー1575円(1日食数=約230食)
「赤坂 榮林」の「元祖榮林酸辣湯麺」の歴史は古く、現在、4代目料理長の溝口和久氏が同店で働き始めた1975年にはすでに商品化されていたという。
まかない食として誕生した「元祖榮林酸辣湯麺(スーラータンメン)」だが、当初はなかなか人気が出ず、1日の出数がわずか1~2食といった程度。
しかし、卵をフワッとしたなめらかな食感にするために、水溶き片栗の止め方、卵を入れるタイミング、火を止めるタイミングなどを追求した結果、徐々にファンが増えていき、20年前ごろにはランチタイムの注文の約1割、そして15年前ごろからは8割以上のお客が注文をするという名物料理へと成長した。
醤油ベースのスープに加えるさわやかな酸味と心地よい辛みのバランスは、酢3対ラー油1の割合。
「コショウを利かせた酸辣湯麺を出しているお店もあるようですが、うちの味はあくまでもラー油の辛さです」と溝口氏。「サンラータン」ではなく、「スーラータン」という同店独特のメニュー名は「酢とラー油だからスーラータン」という昔からの呼び方のままだ。
酸味を出すために欠かせない「酢」は、一般的な醸造酢と京都の醸造メーカーから取り寄せた酢を2対1の割合ブレンドして使用している。京都産の酢はむせ返ることのない、まろやかな香りが特徴だ。
酢の利き具合は、季節や気候によって違うため、毎日微調整が欠かせないという。また、1度栓を開けると風味が抜けていってしまうので、その程度も見極めてブレンドしなければいけないと溝口氏。
一方、辛みを出す「ラー油」は、大豆白絞油と一味を使った自家製のもの。
また、「甘みのある酸味を求めているので、スープの醤油風味と溶き卵の絡み具合はとても大切」であるとし、現在は色の出方やフワッとした食感が特に優れている奥久慈卵を1食分に対して約1.5個使用している。
使われている食材は実にシンプルながらも、独特の酸っぱ辛さが病みつきとなり、「酢は苦手だが、この店のスーラータンメンは好き」と、週2~3回のペースで通う常連客もいるという。
多くの人たちを引きつけて止まない「元祖榮林酸辣湯麺」を作り続ける溝口料理長に、エバラ「酸辣湯麺スープ」を使った模擬レシピづくりをお願いした。
◆溝口和久料理長
ここ数年、酸辣湯麺を提供する店が増え、その味は店によってさまざま。エバラの「酸辣湯麺スープ」も五香粉や花サンショウ、黒コショウ、コチュジャンなどが入っているので、シンプルに酢とラー油を使う榮林の味とは全くタイプは違いますが、完成度は高いですね。香辛料の強さを生かして、例えば、モヤシやキクラゲ、キャベツ、豚肉などたっぷりの具材と合わせてもいいでしょう。また、もう少し酢を足して酸味を引き立たせた方が、さらにバランスがよくなると思います。
●プロフィール
溝口和久(みぞぐち・かずひさ)1955年、佐賀県生まれ。中学卒業後、「赤坂 榮林」に入店。1990年4月から現職。
●店舗概要「赤坂 榮林」
経営=(株)榮林/店舗所在地=東京都港区赤坂3-16-2/開業=1956年3月/営業時間=午前11時半~午後11時(LO10時)、(土祝)~午後10時(LO9時)※休憩時間有り/定休日=日曜
◆エバラで再現!模擬レシピ
■使用食材
麺(1玉)酸辣湯麺スープ(50ml)お湯またはがらスープ(360ml)豚肉(湯通し/千切り・適宜)鶏肉(湯通し/千切り・適宜)ハム(千切り・適宜)タケノコ(ボイル/千切り・適宜)椎茸(千切り・適宜)サヤインゲン(ボイル/千切り・適宜)干絲(千切り・適宜)卵(1.5個)酢(30ml)水溶き片栗粉
■作り方
お湯またはスープで割った酸辣湯麺スープに、具材を加え、水溶き片栗粉でとろみをつけ、卵を回し入れる。ゆでた麺を器に入れ、サヤインゲンを散らす。
■使用食材:「酸辣湯麺スープ」
酸辣湯の「ラー油系」「コショウ系」の2つの風味を、それぞれの特徴を際立たせ1つに合わせたラーメンスープ。ラー油、米黒酢、コチュジャン、老酒、花サンショウ、黒コショウ、唐辛子、五香粉などさまざまな香辛料が効いている。お湯割りで使えるが、がらスープで伸ばすことで一層おいしさが増す。
規格=1リットル×6本