メニュートレンド:日本全国から地カレーが集結 「京都カレー博物館 地カレー家」
今年2月にオープンした「京都〓〓(カレー)博物館 地カレー家」は、日本全国のレトルトカレーをイートインで楽しめる店。店内には、ご当地カレー150種類以上のパッケージがズラリと並び、店の存在を聞きつけた地元客や観光客が次々と訪れる。レトルト食品を、中食から外食へと発展させた、同店のユニークな試みに注目してみた。
○ご当地レトルトカレー約150種 レトルト食品を中食から外食へ
「京都〓〓(カレー)博物館 地カレー家」があるのは、京都市の中心部。ビジネス街と商業地域が同居する、幅広い客層が見込まれる地域である。店を訪ねてまず目を引くのが、ズラリと並んだレトルトカレーのパッケージ。有名メーカーのブランド商品は取り扱わず、日本全国から集められた、150種類以上のご当地カレーがラインアップされている。
メーンの素材は、肉類のほか、野菜や魚介、果物まで多種多様。お客は、各地の特産物がこれほどあるのかと驚くとともに、未知のカレーの世界に入り込むのだ。情報収集や仕入れには、ネット通販の「地カレー家」とタイアップしているが、各県事務所からの売り込みも多いという。
購入希望者には、メーカー希望小売価格に準じて販売しているが、気になるカレーを発見したら、すぐに食べられるのがポイント。ベースには、ライス、ナン、うどん、パスタが用意されており、販売価格にプラス300円で提供している。また、カツやフライ類のトッピングも約20種類あり、より豪華にアレンジすることも可能だ。食べてみて納得することで、飲食後に購入して帰るお客も多い。
同店のオーナーは、市内で有名バーを経営する西田稔さん。知人の關(せき)聡志さんがプロデュースし、新たなビジネスモデルとしてチャレンジしたとか。しかし、ピカピカのオープンキッチンにコック服のスタッフ、ゆったりしたテーブル席と、店内はおしゃれなレストランそのもの。カレー店のイメージとは程遠い。
「以前はフレンチレストランだった店なので、『この雰囲気のなかで、カレーを出したらおもしろい』というのが、もともとの発想。さらに、レトルトを出すことで、ギャップを楽しんでほしかった」と、關さん。レトルトを使うことで、調理がパターン化できることも狙いだが、その代わりに、トッピング類には冷凍物を使用せずに手づくり感を出しているという。
さらに、業務用レトルトカレーをアレンジした、同店のオリジナルカレーも提供。「七福神カレー」(トッピング1品付き、500円)や「ナスカレー」(夏限定、600円)、「激辛エンベロカレー」(800円)などを開発している。
開業から数ヵ月だが、客足は順調で、観光シーズンにはさらに利用客の増加が予想される。また、夜のカレーパーティーでの貸し切りなども提案しており、幅広く利用できる店としてアピールしている。今後は、新たに小規模な店舗展開も検討中という。
(〓〓は口へんに加、口へんに厘が正式表記です)
◆店舗概要
店舗所在地=京都府京都市中京区三条高倉東入ル桝屋町53 DuceMixビルB1階、電話075・255・6999/開業=2010年2月/営業時間=午前11時半~午後9時(LO8時半)、月休/坪数・席数=約40坪・カウンター14席、テーブル30席/1日来店客数=(平日)飲食30~40人、購入40~50人、(週末)飲食60~80人、購入80~100人/客単価=約1200円/スタッフ=4~6人/目標月商=300万円
◆愛用食材:超大辛唐辛子パウダー「BIRD EYE」
(株)八幡屋磯五郎(長野県長野市柳町102-1)
地カレー家のオリジナルカレー「激辛エンベロカレー」に使用しているのが、「BIRD EYE」。創業270年の七味唐辛子メーカー・八幡屋磯五郎が製造する、超大辛の唐辛子パウダーで、同社の大辛タイプの3倍以上の辛さに調合された製品である。同店では、このパウダーに熱したオイルをかけ、オニオンチップやローリエなどとともに数日寝かせることで、辛みと風味を抽出。激辛好きも納得の辛さに仕上げている。