メニュートレンド:「アイスドッグ」 パンの具材がソフトクリーム!?

2011.07.04 388号 31面
バニラ、チョコレート、抹茶のソフトクリームが選べるが、一番のお薦めはバニラ。また、ココア、シナモン、きな粉、抹茶のトッピングも楽しめる(無料)

バニラ、チョコレート、抹茶のソフトクリームが選べるが、一番のお薦めはバニラ。また、ココア、シナモン、きな粉、抹茶のトッピングも楽しめる(無料)

テークアウトの他、店内にはイートインのコーナーも設けられている

テークアウトの他、店内にはイートインのコーナーも設けられている

 西の原宿と称される大阪ミナミのアメリカ村を歩くと、白いものを挟んだコッペパンを頬張る若者にあちらこちらで出くわす。ソーセージの代わりにソフトクリームを挟んだ、ホットドッグならぬ「アイスドッグ」だ。国内はもとより海外のメディアにも紹介され、アメリカ村の名物としてすっかり定着しているこのスイーツ。ユニークな発想と類似品をものともしない元祖ならではの味の秘密を探ってみた。

 ◆元祖の味に揺るがぬ自信 大阪アメ村の名物スイーツ

 アイスドッグ(商標登録)を発案したのは、2003年、アメリカ村(大阪市中央区)の中心に位置する三角公園前にオープンしたソフトクリーム店。代表の荒井栄子さんによると、「ここで理髪店を長年営んでいましたが、街の変遷に合わせて商売替えを決心した」そうだ。その際、ソフトクリームを使った冬場の商品として考案したのがアイスドッグ。ソフトクリーム店開業までの1年間、ホットドッグ店の店長を務めたことが「温かいパンにソフトクリームを挟む」という発想につながった。

 アイスドッグの作り方は、ホットドッグ用のパンをフライヤーで15秒ほど揚げ、包丁で入れた切れ目にソフトクリームを流し込むだけ。所要時間は30秒足らずだ。ポイントは、ホットドッグのようにパンを焼くのではなく、揚げることでソフトなサクサク感を出している点。ただしパンの表面をサラッと揚げているだけなので、いわゆる揚げパンの重厚さはない。口当たりの軽さは想像以上で、女性でも2~3個をペロリと平らげるお客が多いという。このあっさり感を出すには、揚げ方のコツはもちろん、良質の植物油をこまめに替えることが不可欠だという。

 また同店では数年前から、コーンカップ入りの通常のソフトクリーム用とは異なるアイスクリームをアイスドッグ専用に仕入れている。甘味やコクがやや強めのほうが、アイスドッグがさらにおいしくなることを発見したためだ。

 テレビや雑誌、口コミで有名になるに伴い、類似メニューが各地に出回っているが、元祖の味に絶対の自信をもっている荒井さん。理由は、調理がシンプルなメニューほど材料の差が味に出る。「うちではアイスクリーム、パン、油のどれをとってもアイスドッグに最適かつ質の高いものを厳選しています。作り方はまねできても、これだけの材料を使って採算を取っていくノウハウはそう簡単にまねできない」と確信しているためだ。

 小麦粉も油も牛乳も値上がりしている中、オープン時の価格を維持しているアイスドッグ。「これからもファンを裏切らない味を守るとともに、もっと多くの人にこの味を届けたい」と、フランチャイズ展開にも取り組んでいる。

 ●店舗情報

 「元祖アイスドッグ」 所在地=大阪府大阪市中央区西心斎橋1-7-11、電話06・6281・8089/開業=2003年9月/営業時間=午前11時~午後9時、不定休/坪数・席数=約13坪・16席/スタッフ=1~2人

 ●愛用食材:「ソフトクリーム」

 揚げパンにぴったりの甘味とコク

 通常のソフトクリームには六甲牧場の牛乳を、アイスドッグには北海道産の牛乳を原料とするアイスクリームが使用されている。どちらも高品質でおいしいが、北海道産の牛乳を用いたほうがやや甘味やコクが強く揚げパンとの相性が抜群。数年前にこのアイスクリームと出合うことで、さらなる味のバージョンアップを成し遂げた。

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