アポなし!新業態チェック(72)「シナボン」六本木店

2013.01.07 406号 25面

 ●米シナボンが六本木再上陸 シアトルズベストとコラボ店舗 新メニュー加えさらに人気

 日本国内でシアトルズベストコーヒーを展開するブランドパートナーズは、ボジョレーヌーボーの解禁日と同じ11月15日に再上陸となるシナボンの1号店をオープンした。

 六本木ヒルズにもほど近い2階建て。1階22席、2階53席の大型店でシアトルズベストコーヒーとのコラボ店舗にもなっている。

 商品は、従来から変わらないシナボン(クラシック380円、キャラメルピーカンボン420円)とミニボン(クラシック280円など)の2サイズの他、今回はシナバイツ(4個入り320円~)というひと口サイズのシナモンロールとシナボンスティック(4本入り300円、10本入り600円)が仲間入りした。シナボンスティックは、シナボンの生地とはまったく異なるサクサクとした食感が楽しい新顔だ。

 ドリンク類はシアトルズベストコーヒーの商品が中心だが、シナボンのシグネチャードリンクであるモカラッタチル(ホイップなし480円、ホイップ付き530円)も変わらずに販売される。サンドイッチやサラダといった食事系のメニューも用意され、ランチタイムにも対応できる品揃えだ。

 シナモンロールはもちろん店内で生地をつくり焼き上げる。店内ではホットプレートで保温された焼き上がり30分以内の商品のみを提供。その後は、荒熱を取ってテークアウト用のボックスに入れたシナパック(クラシック1300円~)として販売される。

 同社では、年内にも2号店を出店。その後2017年までにフランチャイズを含めた50店舗の出店を目指しているという。

 ★けんじの評価

 個人的には、20年近く前にロサンゼルスで出合って以来、シナボンの大ファンだ。当時の日本には確かまだなかった、コーヒーとチョコレートを組み合わせ、ホイップをしこたま盛り付けたモカラッタチルも、そのときに初めて食べ(?)て、たまげた記憶がある。確か本国のものはとてつもなく大きなサイズだった。その後スターバックスが日本に上陸し、エスプレッソコーヒーをベースにしたさまざまなアレンジコーヒー飲料のブームが来たことは言うまでもない。シナボンのあの独特の香りと風味は人をとりこにする何かがあると思う。ブランドパートナーズの山口社長も記者会見で同じようなことを言われていた。日本人としてはやや大きすぎる感も否めないシナボンのサイズも、今回は「シナバイツ」という新しい商品でカバーされるだろう。

 今回の六本木店は、1号店という位置付けや立地的な判断もあるのかも知れないが、かなりシックでおしゃれなデザインに仕上がっている。特に2階の客席はウッド素材をふんだんに用いた書斎風の内装で、大人の女性も落ち着ける。

 シナボンが日本に上陸してから、シナモンロールはわが国でもコンビニやベーカリーの棚に必ず並ぶ定番商品となった。その後、シナボンが撤退した後もそれは続いている。つまり、もはやシナモンロールは日本人にとって十分に日常的なメニューのひとつになったということだ。

 前回シナボンの展開が頓挫した経緯や、撤退のいきさつなどは詳しく知らないが、ぜひ今回は全国津々浦々に出店するチェーンとして大きく羽ばたいてほしいと願うばかりだ。

 (外食ジャーナリスト・鷲見けんじ)

 ●開業=2012年11月15日/所在地=東京都港区六本木6丁目5番18号 六本木センタービル

 ◆鷲見けんじ=外食チェーン黎明期からFFやFRなどの動向を消費者の目線で見続けてきたアンチグルメな庶民派ジャーナリスト。顧客の気持ちを外食企業に伝えるべく甘口辛口を取り混ぜた乱筆乱文でチェーンの新業態をチェック。朝マックとロイヤルホストのカレーフェアをこよなく愛する外食ウォッチャー。

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