惣菜弁当の殿堂(18)サラダ専科「ハムポテト」 北海道の隠れ名物
○簡単そうで奥深いだからこそ売れる! 人手に尽きる絶妙バランス
「ハムポテト」は、北海道の食品スーパー約10社で定番化されているサラダ惣菜。ポテトサラダをハムで包んだ、極めて単純な料理だが、 道外での販売事例は皆無に等しい。この「ハムポテト」の製造を一手に請け負っているのが、地元ベンダーの(株)サラダ専科だ。
商品の発祥は約20年前。オードブルセットの一品として試作したところ、地元有力スーパーのバイヤーの目に留まり、単品で商品化された。すると他のスーパーからも注文が相次ぎ、いまや平均日販約2000個、繁忙期約6000個の看板アイテムに発展。北海道の隠れ名物に台頭している。「決め手は面倒な人手に尽きる」(廣川秀樹社長)というロングセラーの神髄を追った。
●調理概要:生産効率は1分に7個
調理方法は、1枚10gのハムにポテトサラダ35gをのせ、ハムを巻き上げ、パセリを振り掛けるだけ。聞くと簡単そうだが、これが意外に難しい。初心者だと、薄いハムを破いてしまうロスが続出。ポテサラの分量を一発で決めないと、ポテサラが指に付着して四苦八苦。「生産効率は熟練者でも1分に7個」(廣川社長)というテクニックを要する。
ポテサラは男爵芋にこだわった自家製。ハムは、チョップドハム、ロースハム、ビアソーセージの3種類を受注により使い分けている。
●販売実績:ポテサラだけはNG 得意先に限定
道内の食品スーパー約10社から受注。平均日販は約2000個。クリスマスなどの繁忙期は約6000個に達する。「ハムポテトだけ欲しい」という声が多いが、「とても面倒なので単品受注は厳しい」(廣川社長)とし、得意先限定で受注している。
受注するハムの割合は、チョップドハムが8割、残り2割がロースハムとビアソーセージ。通常のハムポテトのほか、節句時にはハムを花びら状にあしらった、通称「花」という特別バージョンを出荷。こちらも作れば日販3000個は堅いという。
●ポイント:あまりに面倒 同業者は撤退
商品力の決め手は面倒な人手に尽きる。絶妙な食感を演出する1枚10gハムは、極薄のため人手でないと扱えない。自家製ポテトサラダに使う“男爵芋”は、皮が粗くてむきにくく、加熱すると芯が残ったりムラが起きやすい。ハムも男爵芋もデリケートなので、機械化による製造は難しいという。
廣川社長は「かつて多くの同業社が追随しましたが、面倒すぎて皆、撤退しました」と明かし「機械化に向く厚いハムや改良種のジャガ芋を使うと、全く違う代物になってしまいます」と説く。
●食材・資材の決め手
使用食材:男爵芋(北海道産) きめ細かい舌触り
サラダ専科はポテトサラダを売り物とする惣菜ベンダー。北海道産の男爵芋を原料に手作りにこだわった、きめ細かい舌触りのポテサラが自慢。「男爵芋はデリケートで加工用には不向き。だからこそ、こだわる価値がある。きちんと手作りすれば素材勝負で納得いただけます」(廣川社長)と譲らない。
◆企業概要
(株)サラダ専科 所在地=札幌市豊平区水車町8-3-31/創業=1983年/事業内容=ポテトサラダ、マカロニサラダなどのサラダ惣菜を看板商品とする惣菜ベンダー。道内全域の食品スーパーを顧客に事業展開。最近はかにかまをドレッシングであえた「カニマリネ風」を大ヒットさせている。