惣菜弁当の殿堂(28)グゥー「半熟煮玉子おむすび」 CVSが作れない品質を追求
◇信じて育て、人気ナンバーワン商品に 半熟煮玉子おむすび発祥店
見れば必ず目を引く、”半熟の煮玉子”が中に入ったおむすび。半分に割れば断面の黄身があふれ出す臨場感は他のおむすびにはまねできない。その元祖として、国内で初めて「半熟煮玉子おむすび」を販売したのが、(株)グゥーだ。同社はかねて百貨店を中心に惣菜チェーン70店舗ほどを展開していたが、2002年ごろから随時おむすび専門店へと転換。現在は関東圏で主力4ブランド「穂の香」「夢こがね」「夢むすび」「おむすび専科」など、35店舗を展開するまでになった。「半熟煮玉子おむすび」の人気ナンバーワンを不動にした原動力は、競合するCVSがまねできない手作りの強み、そして全店一丸で自信を持って商品を育てる信念にあった。
●商品発祥:CVSで作れないものを求める ラーメン店のおむすびから発想
「半熟煮玉子おむすび」は、当時ラーメン店で出されていた“チャーシューおむすび”が出発点だったという。このチャーシューおむすびをすぐに自社でも開発し、さらに独自性を持たせるために“ラーメンに合うもの”として煮卵に着目。これを丸ごと一つ、タレを絡めたおむすびに包んで商品化した。同社では、「半熟煮玉子おむすび」の他にも「海老天むす」「豚の肉巻き」など、“CVSがまねのできないものを作る”という指針に沿い、おむすび専門店としてCVSとの差別化を図っている。
●調理概要:半熟感はゆで時間のみでコメは魚沼棚田から直接仕入れ
味付け卵は、半熟になるようにゆで時間の調整のみでトロトロ感を出す。添加物は味付け卵のタレに少量加えるのみで、極力素材のおいしさにこだわっている。コメは、新潟魚沼産コシヒカリを主に使用。主力ブランドの一つ「夢むすび」では、その中でも、松代・松之山地区の棚田から直接仕入れたコメを使う。こだわりのコメを店内で炊き上げ、そのままおむすびにする。もう一つの大きなこだわりは、タレ。味付け卵は「しょっぱからず、甘からず、辛からず、でも薄からず、に気を付けています」(北詰美雪営業本部長)と語るように、繊細なバランスを重視。ご飯に混ぜるタレは濃いめの味付けにし、タレだけでもご飯を食べられるように粘度も高めのご飯によく絡む配合にしている。
●販売実績:最多で日販700個も記録 厳しい改廃で新たな売れ筋も探す
「半熟煮玉子おむすび」の日販は、旗艦店となる「穂の香」伊勢丹新宿店で、150~180食、TVで取り上げられた後には700食も記録した。他店舗では平均30~40食ほど。同社ではおむすび35種類のうち、毎月季節商品1~2品を含む4品を新商品として販売することで、常に新しい味が楽しめるように工夫されている。毎月4品入ると同時に4品削ることになっており「新商品で1年後まで残ることは異例」(北詰本部長)と語るようにメニュー内で激しい改廃競争が行われており、新たな定番になりうる商品を探ることにも余念がない。
●ポイント:手間を惜しまず販売継続 店の協力仰ぎ、定番商品に
「半熟煮玉子おむすび」は毎月の新商品の一つとして売り出されたが、当初は思ったように売れなかった。店内調理が基本のため、味付け卵をつぶさないように店員が丁寧に一つ一つ手で握る必要があり、その手間を嫌って作らない店舗が多かったためだ。そのやる気の無さを見た北詰本部長が「これは絶対においしいのだから、全店舗をあげて売りに出す」と号令をかけ、売れ残りを考えず店頭に山積みして販売。異例のゲキに店舗も懸命に取り組み、2~3ヵ月で売上げが急増。人気ナンバーワン商品の地位を築いた。
◆店舗概要
株式会社 グゥー
所在地=東京都渋谷区千駄ヶ谷3丁目60番5号オー・アール・ディビル3階
◆食材の決め手 愛用食材
山本海苔店「有明産 海苔 冷凍網2番摘み」
ポイントは“歯切れ” ちょうど良いのりを選ぶ
コメを巻くのりの選び方は、どういった調理をするかで千差万別だ。巻き寿司なら固めが合うが、かといって、そののりをおむすびに巻いても合うとは限らない。特に、中に軟らかい卵が入っている「半熟煮玉子おむすび」において、食感を邪魔しないのりの選別は重要だ。「歯が、のりの中ほどまで入ってかみ切れるような、絶妙な“歯切れ”を与えてくれる理想ののりです」と北詰本部長が語るのは、山本海苔の有明産「冷凍網2番摘み」だ。時期によって細かく特徴の変わるのりの選び方も、「半熟煮玉子おむすび」を支える大事な要素だ。














