写真1　創作おにぎり各種　180～430円（税込み）

売れ筋商品は「銀しゃけ塩こうじ」「出汁パンチ×3」「銀だら ゆず味噌西京焼き」。白米だけでなく、玄米や黒米を使ったアイテムもあり、ヘルシー意識の高い客層にも好評

銀鮭は店内でローストして手作業で丁寧にほぐす

海苔は一枚ずつフィルム包装して別添え。食べるタイミングで巻くため、口どけ感の高い有明産海苔の使用が可能に

清潔感あふれる店内。来店客の7割を女性が占め、リピーター率は5割に達している

　いよいよおにぎりにまで到達した「映え」のカルチャー！　にぎり飯に具材を盛り付ける、新発想の彩り豊かな創作おにぎりで女性客を中心に人気をさらっているのが、東京・虎ノ門のおにぎり専門店「TARO TOKYO ONIGIRI虎ノ門」だ。

　●実は作業も効率的

　塩むすびの上に西京焼きした銀ダラの切り身を盛り付ける。とろろ昆布で包んだおにぎりの上に昆布の佃煮と煮付けたどんこ半切れをオンなどなど。どれも小鉢に日本料理を盛り付けたような美しさ。銀鮭のほぐし身を盛り付けただけのオーソドックスなおにぎりも具材のボリューム感がしっかり伝わってくる。客は店頭に色とりどりに並べられた具材丸見えのおにぎりを見比べながら、今日の好みを選んでいく。

　「ケーキ屋さんでケーキを選ぶような感覚で選べるようにすれば、おにぎりの地味なイメージを変えることができるのではと考えました」と、メニュー開発の責任者である長瀬功一部長はコンセプトを説明する。

　狙い通り、近隣企業に勤める女性会社員を中心に支持を集めて1日平均200人、多い日は1000個のおにぎりを売る人気ぶりを発揮している。

　おにぎりは1個約100gと、おにぎり専門店では小さめだが「いろいろ選べる当店の独自性を生かすため、他店より1個多くてちょうどよいサイズにしました」と長瀬部長。一方、市販品では5％程度が一般的といわれる具材比率が、同店では約15％とボリューム満点だ。

　一見すると商品メークの難度が高いように思えるが、長瀬部長によれば「むしろ効率的」と言う。「具材を外にはみ出ないように詰め込むのはけっこうな手間。この盛り付けスタイルだと、ご飯をにぎる、具材を盛り付ける、袋詰めする、それぞれの工程ごとに分業できるので品質も安定しやすいし、スピードも上がるんです」。

　手作りの品質にもこだわる。銀鮭は店内でローストした後に手で身をほぐしながら塩麹にあえる、銀ダラ西京漬けはフィレをカットして自家製西京味噌に2日間漬け込むところから店内で行っている。そのため添加物の使用を極力抑えた食材の味がしっかりと伝わる品質に仕上がっている。

　今後の展開については「米食の素晴らしさを広めることも当店の使命です。現在は厳選した宮城県登米市のひとめぼれを使用していますが、シーズンごとに他地域の優良米も紹介していきたい。店舗展開ではイートインスタイルにも挑戦したいですね」と長瀬部長は意欲を見せる。

　●店舗情報

　「TARO TOKYO ONIGIRI」

　経営＝RICE REPUBLIC／店舗所在地＝東京都港区虎ノ門1-12-11　虎ノ門ファーストビル1階／開業＝2022年5月／坪数・席数＝11坪・テイクアウト専門／営業時間＝8時～16時。土日祝休／平均客単価＝800円

　●愛用食材・資材

　「プラス糀　生塩糀」マルコメ（長野県長野市）

　冷めてもおいしい　具材も副菜も向上

　テイクアウト商品は冷めた状態でもおいしいことが求められるが、そこで活躍しているのが同品だ。「冷めてもふっくらした食感を維持してくれます」と長瀬部長は絶賛し、おにぎりの具材のほか、弁当副菜の唐揚げや豚汁の下ごしらえにも多用しているという。

　規格＝500g

　【写真説明】

　写真1：12種前後の定番メニューに加え、月替わりの限定おにぎり3種が店頭に並ぶ。シーズン商品は、冬は鴨のローストやホタテ、春はタケノコ、山菜といった具合に季節感たっぷり。写真は要予約のパーティー用おすすめ24個セット「TARO24」（※ケータリング注文受け付けあり）