アポなし!新業態チェック(193)「果実屋珈琲」調布深大寺店

2023.09.04 535号 11面

 ●物語コーポレーション、カフェに参入 構想に2年、フルーツをテーマにトレンドのアイテムが勢揃い

 「焼肉きんぐ」「丸源ラーメン」などを展開する物語コーポレーションが、フルーツをテーマに据えた新業態のカフェ「果実屋珈琲」を東京・調布市に出店した。

 同店は、和食系ブランドをメインとする同社が、構想からおよそ2年をかけて開発したという初のカフェ業態。「自然の恵みを贅沢に」というコンセプトで、フルーツサンドをはじめとしたサンドイッチとスイーツやジュース、そして器にまでこだわったコーヒーを提供する。

 メニューの中心であるサンドイッチは、ハーフカットを1皿に4個のせ、同じ種類のサンドイッチ4個をフルサイズ、2個ずつ違う種類を組み合わせたものをハーフ&ハーフと呼ぶ。フルサイズのフルーツサンドは、「フルーツミックスサンド」(1298円)、「オレンジ」(1078円)、「完熟バナナサンド」(968円)などのほか、季節のフルーツサンドも。フルーツ以外に「ご馳走サンド」として「海老かつサンド」(1518円)、「名物かにサラダサンド」(1408円)、「たっぷりたまご」(858円)などがあり、フルーツサンドとのハーフ&ハーフも可能だ。トーストを添えたプレート料理も用意されている。

 スイーツには「果実屋生絞りモンブラン」(1639円)やパフェ、フレンチトーストなど。コーヒーや紅茶などは539円から。同店の食パンは、国産小麦を使用して店舗で焼き上げる。また、店内にはサンドイッチやフルーツゼリーなどを販売するコーナーも設置。カフェ業界では注目の新業態だ。(価格は税込み)

 ★けんじの評価:午後6時までの営業、新しい運営方法

 愛知県豊橋市に本社を持つ物語コーポレーションの創業は1949年。和食店などを運営していたが95年に「焼肉一番カルビ」の1号店を出店し現在の礎を築いた。97年に社名を物語コーポレーションと変更。その後フランチャイズ店舗の展開も進めて店舗数を拡大し、現在は国内外に直営とFC店を合わせて630店舗以上を出店している。

 今回の店舗は、長い間「サンマルク」のレストランがあった跡地への出店だ。立地と客層は大正解で、平日の昼間から入店待ちも多い。フルーツサンドや生絞りモンブラン、焼きたての自家製食パンなど、人気の高いトレンドのアイテムを集めただけではなく、テイクアウト専用の商品があることも珍しい。

 しかし実は、この店にはもう一つ大きな特徴がある。それは営業時間が午前8時から午後6時まで(ラストオーダーは午後5時半)ということだ。これは働いている従業員にとってはかなり画期的なことなのではないだろうか。特にパートタイムで勤務する主婦などは、他チェーンの店舗と比べてかなり働きやすい勤務体系になるように思う。近年は政府が主導する働き方改革などという言葉も生まれているが、この営業時間はまさに外食チェーンの働き方改革といえるかもしれない。実際に、店舗では多くの女性スタッフが働いていたが、皆心なしか生き生きとしているように感じた。この営業時間を変えることなく同店の繁盛が続くならば、郊外の外食店に新たな流れを生み出す可能性もあるだろう。

 ◆外食ジャーナリスト・鷲見けんじ=外食チェーン黎明期から、FFやFRなどの動向を消費者の目線で見続けてきたアンチグルメな庶民派ジャーナリスト。顧客の気持ちを外食企業に伝えるべく、甘口辛口を取り混ぜた乱筆乱文でチェーンの新業態をチェック。朝マックとロイヤルホストのカレーフェアをこよなく愛する外食ウオッチャー。

 ●店舗情報

 「果実屋珈琲」調布深大寺店

 開業=2023年6月30日

 所在地=東京都調布市深大寺東町1-1-1

 編集協力:株式会社イートワークス

 http://www.eatworks.com/

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