メニュートレンド:おいしくヘルシーな創作レバー 焼肉仕立てのレバニラ
焼肉店の牛レバーは生食が禁止されて以降、存在感が色あせている。だが、栄養価に優れ、女性から人気があり、鮮度演出に長けるなど、質実的な評価は健在。何よりお値打ち素材としての魅力は不動だ。そんな牛レバーを盛り立てようと、焼肉店ならではの創作牛レバーが続々と現れている。いま焼肉店で脚光を浴びている創作牛レバーの逸品を紹介する。
●網脂でうまみとジューシーを両立
仙台市の「焼肉レストランひがしやま」は、牛レバーとニラを網脂で巻き上げた「焼肉屋さんのニラレバ焼き」を開発し、刻みニラたっぷりの専用タレとセットで提供。4月の発売以降、女性客を中心に注文数を増やし続けている。
中華料理のニラレバを直感させるユニークな発想が際立つが、おいしさの論理とヘルシーの理論も折り紙付きだ。
網脂で包むことで、脂のうまみがレバーに加味され、レバーのジューシー感も保たれる。実際に食べると、焼きレバー特有のモサモサ感はなく、うまみある肉汁が口いっぱいに広がる。また、レバーに含まれるビタミンB1とニラに含まれるアリシンを一緒に摂取すると、ビタミンB1の摂取率が高まり疲労回復に効果的。さらに、レバーに含まれる豊富な鉄分は女性の貧血予防・改善に役立つ。
中山栄一代表は「中華料理のニラレバの場合、レバーを素揚げしてから炒めることで、保湿と消臭を両立させます。網脂は主に洋食で使われますが、目的と効果は中華料理の素揚げと同じです。焼肉でも多様に活用できると思います」と語る。
一方、レバーがドリップするため仕込みが面倒だが、それこそ「焼肉の基本、利益アップの決め手」だという。
中山代表は「お客さまは常に作り手が面倒なおいしさを求めています。原料高で利益が厳しいなら、きちんと面倒な調理に取り組み、お客さまを喜ばせて値上げを図るべきでしょう」と説き、「当店は面倒な調理に回帰して値上げを実現しています」と胸を張る。
当初は仕込みの都合上、1日5食限定からスタートしたが、差し込みPOPの訴求効果もあり日々早々に完売。現在は限定20食にまで増やしており、老若男女を問わず人気の売れ筋上位に台頭している。
●店舗情報
「焼肉レストランひがしやま」
所在地=六丁の目店・仙台市若林区六丁の目東町7-60/開業=1988年/坪数・席数=約200坪・250席/営業時間=11時30分~15時、17時~22時(土日祝30分延長、通し営業)/平均客単価=昼1500円、夜3000円/1日平均集客数=300~600人
●愛用食材・資材
「ヤマサしょうゆAこいくち」ヤマサ醤油(千葉県銚子市)
バランスのよい親和性
タレの配合が焼肉の決め手。その主原料である醤油にはバランスのよい親和性が求められる。焼肉業界では古くからヤマサへの信頼が厚く、老舗から新店までその伝統が息づいている。同店が一貫して愛用している本品は、芳ばしさ、明るくさえた色、コクのある味覚の三拍子揃った代表的な本醸造・濃口醤油。「ベースのもみダレ、つけダレはもちろん、ニラレバのタレなど特殊配合にも使い勝手がよい」(中山社長)と言う。
規格=10L