水産練り製品特集

水産加工 2021.03.10
水産練り製品特集

 量販店を主戦場とする家庭用の水産練り製品は、3月からの春夏シーズンに向けた有力各社のラインアップが出揃った。今年に入り東京や一部府県で緊急事態宣言が再発令・延長され、消費環境は追い風が続く。買いだめが過熱した昨春ほどの伸び率は期待薄だが、新型コロナによる“新たな日常”を捉え、家庭の食の時間をより充実したものとするためのチャレンジが続く。
 20年の練り製品業界は他業種と同様、飲食店を中心とする需要が急減した業務用が甚大な打撃を受けた一方、家庭用は大幅な内食シフトにより、市場規模で約6%拡大したと推測する。特に調理済みおでん、カニ風味かまぼこ、太ちくわ類はいずれも前年比2桁台の高い伸びを示した。
 今春夏、各社共通の訴求ポイントは健康性。魚肉すり身製品の高タンパク・低脂肪という栄養特性は、コロナ下で強まった食を通じての健康志向に最適だ。家飲みや調理時間の増加を踏まえ、即食性や時短・簡便調理、さらに手作りの楽しさを訴える商品も並ぶ。SNSなどネットを介した情報発信も多彩さを増しており、各社の意気込みがうかがえる。不安材料は、すり身原料となる北米スケソウダラの春漁Aシーズン。漁や加工現場でコロナ感染拡大が伝えられ、漁獲の進ちょくとともに価格上昇も懸念される。(本宮康博)