12月8日。今日は事納めの日
12月8日は農事などを納める事納めの日。この日には「御事汁」を食べたと言われる。御事汁には、こんにゃく、にんじん、里芋、ごぼう、焼き栗、小豆などを入れた。
御事汁にも使われるこんにゃくは、医薬用として伝わった
こんにゃくいもは、サトイモ科の多年生作物であり、原産地はインドシナ半島といわれてい る。わが国への渡来にまつわる説は多数存在しているが、根 栽・農耕文化の北方伝播とともにサトイモなどと縄文時代に渡来したとの説が有力である。また記録上では、大和時代に医薬用として朝鮮から伝えられたのが最古の記録であり、食用としては仏教との関係が深く、仏教伝来の頃に伝 わったといわれている。 わが国におけるこんにゃくの歴史的な展開をみると、佐藤信淵『草木六部耕種法』にこんにゃくいもの栽培に関連事項が記されており、江戸時代頃から行われていたと理解できる。さらに江戸時代後期に当時の水戸藩が経済作物として奨励されたことが植玉栽培が普及した最大の要因である。当時は、現在の茨城県を中心に隣接する福島県を含んだ地域が、江戸時代後期から明治時代末期まで国内最大のこんにゃくいも産地とされていた。1776年頃に水戸藩(現在の茨城県久慈地方)の中島藤衛門によって原料の基礎といえる 「荒粉」、「精粉」の加工方法が開発された影響を受け、本格的に 産地形成され江戸・大阪と広範囲にわたる地域外流通を行うまでにいたった。その同時期に福島県、群馬県、広島県においても栽培された記録があるため、江戸時代後半から明治・大正期にかけて国内各地で栽培が本格化していったものと考えられよう。
(日本食糧新聞社『食品産業事典 第九版』(引用箇所の著者:財団法人日本こんにゃく協会 大林達也))