2月26日。今日は脱出の日
1815年2月26日、ナポレオン・ボナパルトが流刑されていたエルバ島と脱出。パリへ戻り復位を成し遂げた。
ナポレオンが普及させた酒、コニャック
酒には紀元前からあった酒類と、近代になって発展したものとがある。酒の女王ともいえる ブランデーは後者の酒で、その歴史はたかだか400年である。
ブランデーのもととなるブドウ酒と蒸溜技術は紀元前から存在し、現に未開人ですら蒸溜酒をもっているほどである。しかしブドウ酒の蒸溜酒は長い間造られなかった。おそらく、ブドウ酒がそれ自体うますぎて、しかも、あまりに身近にあって、そのなかにもっとすばらしい精 (スピリット)が隠されていたとは気がつかなかったのであろう。
13世紀になって錬金術師のアルノー・ド・ヴィルヌーヴ(Arnaud de Villeneuve)は、実験室内でブドウ酒を蒸溜し、予想もしなかった液がとれ、これをラテン語でアクア・ヴィテ「生命の水」と命名した。しかし、蒸溜したてのブランデーは荒々しく、現在の熟成したブランデーのようなふくいくたる香気にはほど遠く、決してすばらしい飲みものとはいえない。14世紀までは主に薬用であったこともうなずける。1630年にはコニャック地方で豊作のために生産過剰となったブドウ酒を用いて、アルザス地方で行われていた、「焼いたブドウ酒」と同じものを作った。1630年をコニャックの始まりというのはこの事情による。その後、ルイ14世の保護政策、次いでナポレオンの普及策などによってコニャックの名は全世界的となった。
(日本食糧新聞社『食品産業事典 第九版』(引用箇所の著者:東京農業大学 徳岡昌文))