ヘルシートーク:料理研究家・リュウジさん

2025.05.01 358号 05面
『リュウジ式 至高のレシピ3 人生でいちばん美味しい! 基本の料理100』リュウジ著/ライツ社 定価:1,870円(税込)

『リュウジ式 至高のレシピ3 人生でいちばん美味しい! 基本の料理100』リュウジ著/ライツ社 定価:1,870円(税込)

【本の中身ちょっと拝見】「至高の肉野菜炒め」は、食材を炒める順が味の決め手に

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【本の中身ちょっと拝見】「至高の焼きなす」は、最初になすをレンジで加熱するのがコツ!/ピーマンの苦みが甘みに変わる「至高のピーマン焼きびたし」

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 ◇種は捨てず、しっかり加熱! ピーマンの甘みを出すのがリュウジ式

 YouTubeチャンネル登録者数は500万人以上を誇り、SNSを含めた総フォロワー数は1050万人を超えるなど、大人気の料理研究家リュウジさん。新刊『リュウジ式至高のレシピ3』の中から、夏野菜を使った簡単レシピや失敗しないコツ、さらにうま味調味料を使った至高ワザも教えていただきました。

 ●野菜嫌いな人のことを思ってレシピを考えています

 僕は、野菜が嫌いです。公言していますし、居酒屋に行っても、野菜は全く食べないですから(笑)。だからこそ、野菜を使うレシピは「野菜嫌いな人がどんな風にすれば食べられるか」「野菜の何が苦手なのか」を考えて、調理方法を工夫したり、工程を組み立てたりしています。

 野菜の中でも、大嫌いなのがピーマンです。苦みとシャキシャキした食感がとくに苦手。そのため、ピーマンはしっかり加熱して、シャキシャキ感を消すのがリュウジ式です。そうすると、ピーマンの青臭さや苦みがすべて消えて、ピーマンが苦手でも食べられるような甘みに変わるんです。

 ピーマンの種は捨てるものだと思いがちですが、余すことなく使うのもポイントです。種はよく加熱すると歯にはさまらず、甘くおいしくなるんですよ。それに栄養価も高いですから。

 著書で紹介している「至高のピーマン焼きびたし」は、半分に切ったピーマンを種ごと使い、焦げ目がつくまでしっかり焼いてから煮ています。「至高の肉野菜炒め」は、にんじんをさっと炒めてからピーマンを加えます。中華料理店などでは、ピーマンは後で調理するのですが、先に入れて、くたっとするまで炒めることで、苦みがなくなるんですよね。肉野菜炒めは、食材の火の通り方を考えて、炒める順番を組み立てていけば、おいしく仕上がりますよ。

 僕のピーマンレシピは、種をとらず、甘みを出す調理法がほとんど。そのため、実際につくった方から、「ピーマン嫌いの子どもが食べました!」という声をたくさんいただいています。

 ●冷やしトマトに味の素を数ふり爆発的にうま味がアップ!

 野菜の中で唯一好きなのが、なす。なすを使った料理は、たくさん油を吸って高カロリーになってしまう…と悩んでいる方も多いと思います。僕自身、40代にさしかかっていることもあり、油をたっぷり吸ったなす料理は、胃もたれしてしまうことも。

 油の吸い過ぎを防ぐには、なすを丸ごとラップで包み、レンジで数分加熱するのがコツです。なすの内部に水分が充満するので、油が入っていかなくなるんです。この調理法をうまく活用したのが「至高の焼きなす」。レンジで加熱したなすを少量の油で焼くことで、ジューシーでさっぱりしたおいしさに仕上がります。油も節約できるので一石二鳥!

 これから旬のトマト。冷やしトマトを食べる時、何をかけていますか?オススメは、うま味調味料「味の素」です。トマトと「味の素」のうま味は、同じグルタミン酸なので、うま味が掛け合わさり、甘みもアップ。トマトに「味の素」を数ふりしてから、塩やマヨネーズなどで食べると、爆発的にトマトのおいしさが引き立ちます。

 「うま味をつけるなら、かつお節や昆布の粉末でもいいのでは?」と思いがちですが、これらは香りが強く、トマトに足すと素材本来の香りを邪魔してしまいます。だから、やっぱり余計な香りがしない「味の素」が一番。うま味調味料は、素材のうま味を消すのではなく、うま味を足して、素材本来の持ち味が活かせるものだと理解しています。先日、発見したのが、生のピーマンのおいしい調理法。せん切りにしたピーマンをごま油、塩、「味の素」であえると、苦みが消えて、めちゃくちゃおいしいので、ぜひ試してもらいたいですね。

 ●生涯忘れることのないインドのパイナップル

 18歳の頃、船で世界一周旅行をしたのですが、今でも忘れられないのが、インドのパイナップルです。ホームステイ先の方が、お土産にと路上で売っていたパイナップルを丸ごと1個買ってくれたんです。船の上でさばいて食べたら、驚くほどおいしくて!熟成しているのでやわらかく、芯まで食べることができて、周囲の人に分けたら、その味に歓声が上がったほど。これまで食べてきたパイナップルの中で、一番甘くておいしかったですね。

 料理研究家として活動を始める前、介護施設で7年ほど働いていました。定期的に食事を振る舞うようになった中で、お年寄りに人気だったのが「大根の唐揚げ」です。大根をだしで煮てから、水気を拭きとり、片栗粉をつけて揚げると、中はとてもやわらかく、周りはサクサクに。大根はおでんの具など市販のものを使ってもいいですよ。好みで塩をふったり、からしをつけて食べてもおいしいですね。ひと手間かかるのですが、生まれて初めてSNSでバズッた料理もこれだったんです。

 介護施設で得たものはたくさんあって、毎日食べる基本の料理がおいしいと、人は笑顔になれるということにも気づきました。実は、至高のレシピは、その時に出していた料理が原型で、それを研究して、何度も試作して磨いたものです。

 この世で一番おいしい調味料は「愛情」だと思うんです。この愛情は、「料理をする自分に愛情を持ってください」ということ。僕も年々、歳をとり「料理のおじさんリュウジ」に改名もしましたけど、ずっと心に寄り添える料理研究家でありたいし、死ぬまでレシピを発信し続けたいと思っています。

 ◆プロフィル

 TV・漫画のレシビ監修や、食品メーカー、大手スーパーマーケット等とのタイアップによるレシピ開発、自治体での講演も多数手がける。「今日食べたいものを今日つくる!」をコンセプトに、SNS総フォロワー数は約1050万人。料理動画を公開しているYouTubeは総再生回数12億回を突破。2020年『リュウジ式悪魔のレシピ』、2022年『リュウジ式至高のレシピ』が「料理レシピ本大賞 in Japan」にて、ともに大賞受賞。

 ●NEW Book

 『リュウジ式 至高のレシピ3 人生でいちばん美味しい! 基本の料理100』

 リュウジ著/ライツ社 定価:1,870円(税込)

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