ラーメン特集:最新メニュー動向 予測される多種多様な形でのメニュー展開
依然として続くラーメンブーム。ただ、数年前のピーク時のような「騒がしさ」は収まり、市場は、低価格路線を前面に打ち出すチェーン店と、ブーム時に話題を独占した「行列のできるラーメン店」群との二つに大別されている。風味を引き立てるダブルスープ、豚骨ベースの醤油・味噌・塩スープが市場の主役となり、新たな話題に事欠かない。まさに「時々刻々」と変化するラーメン市場の現況、今後のメニュートレンドを探った。
ラーメン市場は、堅実に成長を続けていると言えよう。一時のような急激な市場拡大は一段落したものの、着実に市場は成長し続けている。
市場トレンドは二つに大別される。一つは、「幸楽苑」に代表される、低価格路線。「中華そば390円」の幸楽苑のビジネスモデルは、非常に分かりやすく、追随する勢力、コピーチェーンも数多く現れている。大衆市場を狙ったラーメン店の伸長率が高いことを指摘し得よう。
一方「グルメラーメン」がトレンドの対極にある。いわゆる「行列のできるラーメン店」が、依然として、大きな勢力を保っている。さまざまに工夫を凝らしたメニューを掲げた店が陸続と出店していることも見逃せない。ラーメンを日常食として定着させた低価格路線チェーン店。その対極にあるグルメラーメン。この二つの流れが、ラーメン市場の着実な成長を支えている。
グルメラーメンに関しては、数年前の爆発的な流行時期と比較すると、売上げはある程度落ち着き、有名ラーメン店の売上げは横ばい状態にある。新規参入店へ次々客が流れ移る傾向が顕著であり「流行商品」的な状況に置かれ始めていることを指摘せねばなるまい。
古くから営業している、いわゆる「街場」のラーメン店に関しては、目立った動きは余りない。しかし、一部の店では、担々麺、麻辣麺といった、これまでにはないメニューも取り入れられており、固定した客層をつかんでいる点が、新しい傾向と言えよう。特に、担々麺は人気が高く、定番メニュー化している店も多い。新しい辛みを楽しめるラーメンとして、受け入れられている。
ラーメンは麺、スープ、具材から成り立つという、商品特性から今後のトレンドを予測してみよう。スープは、ダブルスープが主流。骨、がらを煮込んだ肉系スープに、鰹節、いりこなどを煮込んだ和風系のスープを、丼に注ぐ時にブレンドすることで、風味が引き立つ。風味を引き立てるためには、ダブルスープが不可欠なわけだ。肉系スープと、和風系スープを同じ寸胴で煮込むと、素材の味が相殺されてしまう。ダブルスープは、素材の風味を生かし、新しいおいしさを作り出すことができる。ラーメンスープ作りの常とう手段となっている。
スープの種類では、豚骨スープがラーメン市場を拡大してきた。豚骨をベースとした味噌、醤油、塩が、今後も、市場牽引役の一翼を担うであろうと推測される。従来、豚骨を使用するのは九州ラーメンに限られていた。しかし、現在、豚骨スープの味が非常にポピュラーなものとなった。関東風のラーメンであれ、ベーススープを豚骨で取り、醤油豚骨、味噌豚骨、塩豚骨といった、多様なスープがアレンジされ、生み出されている。がらスープにはない、豚骨スープを使った濃厚な風味のスープが、今後も、人気を集め続けるだろうと予測される。
同時に、豚骨スープは、ラーメンのヘビーユーザーにとっては「飽きられている」ことも否定できない。では、次に来るスープは何か。一つの解答として、洋風スープが挙げられよう。ブイヨンベースの洋風スープと、もう1種類のスープをブレンドするダブルスープが、今後、新しい味として人気を得る可能性が十分に考えられる。また、がら系からさらに進み、肉からだしをとるスープ。高級中国料理で供される清湯に近い、肉のうまみを芳醇に含んだスープも登場してくると思われる。あっさり系でありながら味の深みも持ち合わせ、上品な味わいの清湯が、今後のラーメンスープの、一つの大きな流れを形成すると推測されよう。
また、ラーメンではないがフォー、春雨スープなどが注目される。いずれも、あっさりとしたスープを使っており、これらのスープがラーメンスープへ及ぼす影響も、見逃せない。
醤油、味噌、塩へのこだわりが生じてくることも、確実であろう。味噌に関しては、熟成味噌、焼き味噌、あぶり味噌などの使用を前面にアピールする傾向も出てくるはずだ。醤油、塩に関しても同様に、醤油や塩自体の差別化が進行するであろう。
麺は、極細麺が、今後の主役となろう。極細麺は、のびやすいが故に、取り入れる店が少なかった。しかし、スープとのからみが良く、今後、主役となり得る可能性は大きい。手打ちの極細麺がメディアで紹介され、ラーメンファンは、そのような麺の登場を心待ちにしているとも言える。練り込み麺が人気を博す可能性も指摘できよう。事実、ホウレンソウを練り込んだ翡翠麺が人気だ。今後、ごまを練り込んだ麺など、まだ、余り中華麺で普及していない練り込み麺が、多彩な形で登場してくるだろう。
具材については、「薬味的」に工夫する店が多く現われてくるだろう。例えば、辛みネギ、辛みモヤシなど。ある意味で「くせのある」具材の使われ方が登場するのではないか。半熟卵が人気を集めていることも、この傾向の一つととらえられよう。マニアックとも言えようが、話題性の高さを、「薬味的具材」で作り出す傾向も生じよう。
また、ヘルシーさを前面に打ち出すラーメンも求められるだろう。例えば、チャーシューの大盛りラーメンではなく、しゃきしゃきと炒めた野菜をふんだんにのせたラーメン。油分を控えめとし、カロリーを低く抑えたラーメンなど。いずれにしろ、ラーメン市場は、今後も、実に多種多様なメニューが、まさに「百花繚乱」的に登場する活気を呈し続けるだろう。
(FSプランニング・押野見喜八郎)














