アポなし!新業態チェック(16)「エスプレッサメンテ・イリー」有楽町イトシア店

2008.02.04 338号 06面

 カフェ業態などを経営するプロントコーポレーションとイタリアの高級老舗エスプレッソのブランド「illy」(イリー)が提携した新業態「エスプレッサメンテ・イリー」は、スタイリッシュなカフェの展開を進めている。この店はイタリアの老舗コーヒーブランドであるイリーの名を冠したカフェであり、現在は主に東京駅周辺などに出店中。

 今回臨店した「有楽町イトシア店」は、「West meets East」というコンセプトで、皇室にも献上されている和菓子「鶴の子」で知られた博多の老舗和菓子店「石村萬盛堂」とコラボレーションしたものだ。

 このコンセプトによって、メニューの中でも特にスイーツに力を入れており、シチリアの塩を使用した「シチリアンロールケーキ」(300円)や濃厚なチーズケーキ「シルキーフロマッジョ」(350円)、イリーのコーヒーテーストが盛り込まれた「コーヒーブラウニー」(400円)など、ひと味違ったメニューが特徴となる。

 特にマシュマロを進化させた「レアギモーヴ」(各200円~)は、5種類の味覚があるこの店のオリジナルスイーツだ。スイーツの多くはテークアウトも可能だが、パッケージもモダンな和風のデザインで統一され、大人向けのギフトにも十分対応できるクオリティー。また夜間には、スイーツと相性のいいスペシャルカクテルも用意して、バールとしての性格も打ち出す計画という。

 スイーツ市場が活気を帯びる中、この店のこうした新しい試みには業界も熱いまなざしを向けている。

 ★けんじの評価

 「ギモーヴ」とはフランス語でマシュマロのことを指すそうだ。イタリアの高級コーヒーブランドとフランスのマシュマロ、そして日本の老舗和菓子店という組み合わせは、まさに国際的なコラボレーションというところか。

 店が入居する有楽町イトシアは、ほかにも話題のフード店舗が満載の商業施設で、平日からラッシュアワーのように混雑している。しかもその98%ぐらいは女性客。残りの男性は、おそらく業界関係者の視察だろう。

 店のテーマカラーは限りなく赤に近いオレンジ色、日本語でいえば朱色である。このあたりも「伊・和コラボ」を意識したデザインなのか。テーブルトップから下は黒色で、大胆かつダイナミックな色彩構成が美しい。

 フロアのレイアウトからか、店舗の入口が2方向にある特殊な構造。その入口をつなぐ動線の左右に飲食と物販のカウンターがそれぞれ配置されている。店舗を外から見たときにはセルフサービスカフェとばかり思っていたのだが、入店してみると若くおしゃれなスタッフが元気よく接客してくれるテーブルサービス業態であった。

 着席してあたりを見回せば、家具や食器はかなり高価なもののようだ。「このイスに座ってこの価格は安い!」と、あえて断言してしまおう。

 店内のデザインに比べてスイーツは落ち着いた大人の味。ボリュームもちょうどよい。店内で大きめに流れるラテン系のBGMさえ気にならない年代なら、これ以上はない最先端のカフェだといえるだろう。

 ◆エスプレッサメンテ・イリー 有楽町イトシア店(東京都千代田区有楽町2-7-1、有楽町イトシアB1)開業=07年10月12日/席数=69席

 ■外食ジャーナリスト 鷲見けんじ

 外食チェーン黎明期から、FFやFRなどの動向を消費者の目線で見続けてきたアンチグルメな庶民派ジャーナリスト。顧客の気持ちを外食企業に伝えるべく、甘口辛口を取り混ぜた乱筆乱文でチェーンの新業態をチェック。朝マックとロイヤルホストのカレーフェアをこよなく愛する外食ウォッチャー。

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