外食の潮流を読む(131)「もつ焼き」に伸びしろがあると確信して伝統のブランドをFC展開

2026.05.04 567号 11面

もつ焼きの居酒屋チェーンは、古くから営業を続けているところが多い。東京・中目黒に本店を構える「もつ焼き ばん」も同様だ。同ブランドは、2025年10月にフランチャイズ本部を立ち上げて、加盟店の募集を行っている。

同ブランドは、小杉正氏が1958年東京・中目黒に創業。しかし、駅前再開発によって2004年12月に惜しまれて閉店した。その後をのれん分けで継いだのは、小杉氏の娘婿である松本勝氏(60歳)である。

松本氏は社会人となってから、90年に広告マーケティングの会社を起業。その後、飲食店のFC加盟店となり、メガフランチャイジーとなった。一時期80店舗を超えていた(08年に解消)。06年7月に「もつ焼き ばん」の五反田店を出店。10年9月に株式会社ばんを設立、以来、14年10月中目黒本店をオープンするなど、店舗展開を推進した(国内7店舗、上海1店舗)。

松本氏は、メガフランチャイジーの会社を解消した後、上海に渡って、中国で事業の基盤をつくっていった。しかしながら、20年1月に新型コロナウイルスが発生。22年4月上海市は完全封鎖、その後、コロナの体制は解禁されたが、中国の事業は5店舗に絞って経営を集中させた。

一方、日本の「もつ焼き ばん」は、コロナ禍にあっても堅調であった。そこで、松本氏は日本で「もつ焼き ばん」のフランチャイズ展開を行おうと考えた。人員不足の対応策として、上海の「もつ焼き ばん」で育成した中国の従業員を、特定技能制度で日本の加盟店に送るということも用意している。

パンデミックに見舞われていながら、日本の「もつ焼き ばん」は堅調に推移していた。15坪、月商250万円で赤字続きの五反田店は、月商1100万円を超えるようになった。そこで松本氏は、「『もつ焼き ばん』に伸びしろがあると確信した」という。

客単価はどの店も2200円弱。原価率は平均38%前後。ほとんどの店は、休日なしで11時30分から翌朝4時までの16.5時間営業を行い、1日4.8回転となっている。松本氏は「薄利多売ではなく『薄利多多多売』で、この売上をつくっています」と語る。

松本氏は、メガフランチャイジーを運営していた経験を、これから遺憾なく発揮していくという。その方針は、「過剰な投資をしない」「エリアにこだわらない」「物件との出合いを大切にする」ということ。

そのため、オーナーには「最初は15坪、月商600万円を目標にしましょう」「そして常連さんをたくさんつくって、5年で1000万円のお店にしましょう」と語っている。この根拠は、23年1月にオープンした恵比寿店が初月に800万円を売り上げ、そして半年で1000万円を超えたことだ。「もつ焼き ばん」のブランド力の賜物であろう。

こうして松本氏は、加盟店と共に「もつ焼き ばん」の伸びしろ経営の世界観を享受していきたいと語っている。

(フードフォーラム代表・千葉哲幸)

◆ちば・てつゆき=柴田書店「月刊食堂」、商業界「飲食店経営」の元編集長。現在、フードサービス・ジャーナリストとして、取材・執筆・セミナー活動を展開。

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