削り節ラーメン勢力拡大中
【麺屋 猪一】出汁そば(白醤油)赤玉味付け玉子入り 1,550円(税込み) 透明感のある繊細な味わいの「白醤油」と、しっかりとした醤油感がある「黒醤油」の2つのタイプがある。炊いたタケノコを合わせるなど日本料理を思わせる構成
【節丸】芳醇トリュフだし 塩そば 1,350円(税込み) 同店で人気第2位のメニュー。鰹節だしと店内で削った鰹節の粉を入れ、提供直前にトリュフ塩をかけて削り節を合わせている。鰹だしとトリュフ塩が驚くほど好相性
ラーメンというと、鶏ガラや豚骨で取ったコクのあるスープが現在主流を占めているが、動物性油脂に頼らず、日本の伝統的な魚節のうまみだけを軸にしたラーメンという新潮流が生まれている。繊細ながらも複雑なうまみと風味を持つ魚節を前面に打ち出した和だしのラーメは、濃厚なうまみとコクのある従来のラーメンとは魅力が異なり、今後一つのカテゴリーとして成長するかもしれない。魚節でだしを取り、さらに削り節を合わせたラーメンを提案する2店を取材した。
●「削り節+昆布」でうまみ抽出 日本料理の魅力を持つ麺料理
2013年に京都・寺町通で創業し、「透き通ったスープと独自の哲学」でミシュラン・ビブグルマンにも選出されるなど、外食ラーメン界で存在感を高めている「麺屋 猪一」。現在、京都で3店舗展開しており、今夏は東京(神楽坂)に初進出する同店では、だしの思想をベースにした新感覚のラーメンを提供している。
「和だしの文化を広めたい」として、同店のラーメンスープは数種類の削り節と昆布でだしを取っており、ガラなどの動物性油脂は不使用。日本が誇るだしのおいしさで勝負しているラーメンだ。また、提供時には0.01mmの極薄に削った本枯節をふわりと合わせているのも特徴で、節の繊細なうまみがしみじみと味わえる。
ラーメンは一般に動物性油脂のコクとうまみが必須、と考えられているが、「ラーメンとは何か、を問い直す一杯と言えるかもしれない。削り節と昆布という日本のだしのうまみだけでもラーメンは十分成立するのは間違いない。しっかりとだしを取ると、動物性油脂に頼らなくても味に厚みが出る。日本のラーメン=豚骨ラーメンをイメージして来店する外国人の方にも大変満足していただいている」と、創業当初からブランドづくりを担ってきた竹田祐司氏は言う。
同店のラーメンはいわば、“ニッポンの麺料理”という新たな立ち位置を持つ、ラーメンとうどん・そばの中間のような存在で日本料理のカテゴリーに入る魅力だ。「コク」「濃厚」というキーワードとは別方向の、繊細ながらも力強いうまみが魅力になっているというわけだ。
各店の一日平均集客数は200人を超える人気ぶりで、和だしラーメンのポテンシャルを感じさせるが、「竹田と二人三脚で立ち上げ、多くの人に支えられて気づいたが、ラーメン店は劇場のようなもの。単においしいラーメンを提供するだけでなく、店の空間やスタッフの笑顔も含めた“体験”を提供する場だと心得ている」と、竹田氏と共にブランドづくりを担ってきた猪上靖章氏は、思いを語っている。
◆店舗情報
「麺屋 猪一」 京都市下京区寺町通仏光寺下る恵美須之町542
「麺屋 猪一 離れ」京都市下京区高辻通堺町西入泉正寺町463
「MENYA INOICHI #3」京都府宇治市宇治妙楽160-6
「出汁そば(白醤油) 赤玉味付け玉子入り」 1,550円(税込み)
透明感のある繊細な味わいの「白醤油」と、しっかりとした醤油感がある「黒醤油」の2つのタイプがある。炊いたタケノコを合わせるなど日本料理を思わせる構成
「炙り和牛そば(黒醤油) 赤玉味付け玉子入り」 2,350円(税込み)
薄切りの黒毛和牛を自家製ダレにさっとくぐらせて香ばしく炙り、うまみと香りを引き立てた人気の一品
●繊細なザ・和食ラーメン 本枯鰹節の削りたてが主役
昨年12月にオープンした「節丸」は、「家庭で鰹節を削り、削りたてを食べる文化を復活させたい」として、本枯鰹節の削りたてを味わう食体験を打ち出している新スタイルの業態だ。注文が入ってからカウンター席の目の前で鹿児島県枕崎産の本枯鰹節を0.01mmの極薄に削り、器にこんもりと盛り付けて提供。メニューは御膳メニューと中華そばを展開しており、炊きたてご飯に削りたての鰹節、高級ブランド卵「夢王」を合わせた“日本一贅沢な卵がけご飯”の基本セット「生削り鰹節御膳」が看板メニューだが、オープン当初想定していた以上に中華そばも人気を呼んでおり、現在、御前メニューと中華そばの注文率は半々という。
同店の中華そばのスープは、ガラや動物性の油脂、エキスは使用しておらず、鰹節で取っただしに鰹節の粉を加え、提供時にさらに削りたての削り節をふわっと合わせている。削り節は本枯鰹節を0.01mmの極薄に削っているため、スープと一緒に口に入れるとさらりと溶けて口に残らず、香りが広がる。ニッポンの和だしの真髄が味わえるラーメンといったところだ。北海道産小麦「はるゆたか」を使用した特製の麺は、もちもち食感で喉ごしがさらりと軽く、全体的に繊細な日本の汁料理を思わせる。
数多くのラーメンの名店が並ぶラーメン激戦区の東京・新宿で、専門店ではないながらも同店の中華そばが支持を集めている理由について、同店を運営する花研の中西剛史専務取締役は「動物性のうまみやコクではなく、鰹節のおいしさで食べさせるラーメンというのは、これまでにあまりなかったからでしょうか。言うなれば『和食のラーメン』です」と表現している。
◆店舗情報
「節丸」
東京都新宿区新宿3-17-7 紀伊國屋ビル地下1階 坪数・席数=14坪・カウンター12席
一番人気の看板メニュー「生削り鰹節御膳(基本セット)」(1,600円・税込み)で付く“日本一贅沢な卵がけご飯”が評判。そのため、同店では「中華そば+卵がけご飯」のセット注文が多いという
「芳醇トリュフだし塩そば」 1,350円(税込み)
同店で人気第2位のメニュー。鰹節だしと店内で削った鰹節の粉を入れ、提供直前にトリュフ塩をかけて削り節を合わせている。鰹だしとトリュフ塩が驚くほど好相性
「たまり醤油だし中華そば」 1,350円(税込み)
鰹節だしのスープに醤油ダレと「芳醇トリュフだし塩そば」の6倍量の鰹節の粉を合わせ、提供直前に削り節を合わせたザ・鰹節ラーメンの決定版














