外食の潮流を読む(133)坪月商100万円を売るおでん屋が10年間で1000店舗を描く秘訣
今、都内で「おでん屋」のものすごい繁盛店がある。店名は「Odenbarうまみ」(以下、おでんバーうまみ)。2021年2月、横浜・関内に創業店舗をオープンして以来、昨年までに、表参道、代官山、赤坂、麻布十番、新橋、仙台FC、三軒茶屋と8店舗展開している。また、この4月シドニーに海外1号店をオープンした(現地資本)。
同店の特徴を挙げると、まず顧客のターゲットを「30代女性」としている。出店場所には華やかな地名が並ぶが、それもターゲットを狙う上で必要だから。次に、狭小物件(7~15坪)で、路面店もあるが、空中階や地下でも営業するなど出店立地を問わない。メインはディナー帯の居酒屋でありながら、ランチ営業も行っている。ディナーは予約が取りづらいほどの人気ぶりだ。こうして「おでんバーうまみ」は、全店共に坪月商70万円から100万円となっている。
同店を展開しているのはWAS(本社/東京都港区)。代表の宇野優司氏(34歳)は、静岡県出身で独立を志してきた。大学では栄養学を学び、飲食業の直営店を展開すると同時に、飲食業をバックアップするグロブリッジに入社。ここでは、店長のほかにもオーストラリアの新規事業を担当した。同社に5年間在籍したのち、グローバルとITの分野を勉強しようと、デル・テクノロジーズに入社。ここでは営業担当として1年間働いた。
その後、宇野氏は28歳になり、独立のタイミングに。まず、自分の来し方を振り返り「飲食の道」を定めた。そして、自分の起業とは「世界で事業を行う会社」と考えた。ここを追求していったところ「日本の食文化」に至り、さらに「だしの文化」に行き着いた。
グローバルで認知されている日本の外食は「ラーメン」「すし」である。では、日本で十分に通用していながら、グローバルにないものは何だろうか、と考え、「おでん」が浮かんだという。
宇野氏が考えたコンセプトは、とてもロジカルである。
まず、ターゲットは「30代女性」。店舗は7坪から十数坪と小型で(ワンオペで可能)、居抜き物件が基本(投資金額をかけない)。必ずバーカウンターがあり(30代女性を集客するため)、不便な場所でもWEBで集客する。客単価は4000円から5000円(「30代女性」が日常的に使える金額)。
これらを踏まえた、「おでんバーうまみ」の立地条件とはこうだ。
「1つ目は、オフィス街としての需要がしっかりとある。つまり『働いている人』が、その街に存在している。2つ目は、『わざわざ飲みに行く』という、いわゆる繁華街的な要素を持っている。3つ目は、背景に住宅地があって、居住者がそれなりに存在している。これによって、デリバリー需要も満たすことができる」(宇野氏)。
「おでんバーうまみ」は、今年からフランチャイズを主力に出店を加速していくという。その「自信」とは、コンセプトのわかりやすさである。「10年間で1000店舗」を標榜している。
(フードフォーラム代表・千葉哲幸)
◆ちば・てつゆき=柴田書店「月刊食堂」、商業界「飲食店経営」の元編集長。現在、フードサービス・ジャーナリストとして、取材・執筆・セミナー活動を展開。














