外食の潮流を読む(134)ロードサイドの革命「ピソラ」が外食産業の新しい幕開けを告げる
今、ロードサイドで「PISOLA(以下、ピソラ)」というファミリーレストランが活況を呈している(客単価2600円)。この5月末段階で全国70店舗。ロードサイドであるために車を持たない人にとっては、なじみのないお店であろう。筆者も同様であった。それが筆者は今、「ピソラの存在は、外食産業の新しい幕開け」と直感している。
筆者が「ピソラ」の存在を知ったのは。2025年9月のこと。串カツ田中HDが「脱・串カツ田中」の宣言を行ったときだ。同社が「新しい価値を創造する」ために「ピソラ」を必要として、同社を完全子会社化する(同年12月1日)と知った。買収金額は95億円。串カツ田中HDの売上高は210億円強であり(25年11月期)、思い切ったM&Aと筆者はとらえた。
「ピソラ」を生み出したのは、同社代表の鬼界友則氏(47歳)である。外食ベンチャーにいた10年当時に、新プロジェクトとして「バリ島の五つ星リゾートホテル」のような空間の中でイタリアンを提供するレストランをつくった。これがヒットして、19年までに17店舗を展開。この年に会社分割でピソラが誕生した。ここで資本家として廣瀬周栄氏が参画。廣瀬氏が串カツ田中HD代表の貫啓二氏と親しいことから、ピソラと串カツ田中の縁がつながった。
筆者は今年1月中旬、「ピソラ」を初めて訪れた(戸田公園店)。そのレストラン空間は、これまで見たことも、想像したこともない世界であった。天井は高く、丁寧に作り込まれたたくさんのランタンが天井を覆い尽くしていた。
メニューのほとんどがセットメニューで、ドリンクバーが付いている。ドリンクバーはオープンキッチンの手前にあり、ライブ感が伝わってくる。フレッシュジュースが多く、回転が速いのでクオリティーが保たれている。
注文は、QRコードを読み取ってスマホで行う。料理の出来上がりも早い。ピッツァ、パスタとも10分程度でテーブルに届いた。ずばり、おいしかった。
筆者はふと、半世紀近く昔に体験した、ファミリーレストランでの心の高ぶりを思い出した。学生時代の1980年あたり。世田谷区の芦花公園近くにあった「ロイヤルホスト」を初めて来店した。ここには心躍る楽しさが存在していた。客のすべてがそのような状態で、店全体に「ワクワクの空気感」が満ちあふれていた。「ピソラ」は、まさにそれを再現している。
「ひと言で言うと、従来型のファミリーレストランとは『期待通りの満足感』です。一方、『ピソラ』の場合は、『クラフトレストランチェーン』というポジショニング。その定義は、『期待を超える』『ワクワク・感動』ということ」(鬼界氏)。
「ピソラ」は最近、急ピッチで店舗展開を行っている。ここには実績を有するメガフランチャイジーが加盟店になっている、という背景もある。こうしたバックグラウンドも手伝い、外食産業が再び大きく動き出している、と筆者は感じている。
(フードフォーラム代表・千葉哲幸)
◆ちば・てつゆき=柴田書店「月刊食堂」、商業界「飲食店経営」の元編集長。現在、フードサービス・ジャーナリストとして、取材・執筆・セミナー活動を展開。















