飲食店成功の知恵(36)開店編 忘れられがちな店頭の清掃
《汚いイメージは致命的に》 ちょっと注意して街の中をひと回り歩いてみればすぐに気づくことだが、最近どうも外装の汚れたお店が目につく。つまり、外装の清掃がおろそかにされているお店が多い。ビルの内部でもない限り、外装は一年中、雨風やホコリにさらされている。都市部や街道筋などは煤煙もひどいから、ガラスはすすけ、壁にはホコリがこびりついている。いや、ビルの内部のテナントであっても、外装は知らないうちにけっこう汚れるものだ。外のお店ほどではないにしても、掃除をしなければ、飲食店らしい清潔感などあっという間に消え失せてしまう。はっきりとした汚れはついていなくても、なんとなく薄汚れた感じに見える。いずれにしても、こういう汚いイメージは、口に入るものを扱う飲食店として、致命的なダメージである。
そもそも最近は、開店前に店の前を掃除するお店がほとんど見られなくなってしまったようだ。一方ではクレンリネスの重要性が認識され、店内についてはこまめに掃除し、汚れに注意を払うお店が増えているのに、これはいったいどうしたことか。
なぜ店頭の掃除をおろそかにするのか。そう質問すると、たいていの経営者は、従業員にヤル気がないからだ、と答える。そんなことをやらせると、すぐにやめてしまうから、という。たしかに、そういう面はあるだろう。しかしそれなら、経営者が自ら掃除すればよいことである。こういういいわけばかりする経営者は、実はこの掃除の重要性が本当には分かっていないのである。かつては、毎月店頭をきれいにすることは、飲食店の基本だった。当たり前のこととして、どこの店でもやっていた。もちろん時代が違う、ということはある。しかし、私にいわせれば、最も違ってしまったのは従業員ではなく、経営者の方だ。むしろ問題の根は深いといえよう。
《ドア・窓・置き看板を磨く》 外装の汚れは、お店の中にいる人間には気づきにくいが、お客の目には真っ先に飛び込んでしまう。そこが怖さなのだが、定期的に清掃をすることで、お客離れを簡単に防ぐことができる。毎月何日と何日、あるいは曜日を決めて実行すれば、気づかないとか忘れるなどということは絶対に起こらない。計画的に実行するというのは、お店の内外を問わずクレンリネスの基本である。従業員に対しても変な遠慮をする必要はない。清掃することの意義、大切さを教え、お店の仕事の一部として当然、命ずべきである。大体、経営者自身がイヤなこと、おっくうなことなどと思っているから、従業員にも伝染してしまうのだ。繰り返すようだが、まず行うべきことは、経営者であるあなたの意識改革である。
外装の清掃といっても、小規模店の場合、外壁の面積自体がそれほど広くないのだから、やってみればそれほど大変なことではない。そして、定期的に清掃を心がけていれば、汚れはそんなに付着するものではないし、外装自体の傷みの進行も防げる。これは、住まいの掃除を考えてみればよく分かるはずである。
ただ、ドアと窓と置き看板‐‐つまり、お客を迎える導入部としての三つのポイントは、毎日きれいに磨き上げる必要がある。この三つがきれいであれば、お店は生きて輝いて見える。いうまでもなく反対は、死んで魅力のないお店である。お客がどちらのお店に入りたいと思うか、いうまでもあるまい。とくに、個人店の置き看板は年中出しっ放しで汚れ放題ということが少なくない。この明かりが薄暗いようでは、お店の将来もあまり明かるくはないと心すべきである。
また、店前の道路を含めた清掃も、ぜひ毎日実行してほしい。夏なら水もまくといい。こういう小さな努力がすがすがしさを生み、お店の存在自体をアピールすることになる。
フードサービスコンサルタントグループ
チーフコンサルタント 宇井 義行
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