話題の飲食施設 テレコムセンター(東京・江東区)最新鋭のハイテクビル
東京臨海新交通「ゆりかもめ」で新橋から一七分。東京ウォーターフロントは台場地区(港区)と接する青海地区(江東区)の一角。パリの郊外デュファ地区に建つ新凱旋門「アルシュ」(一九八七年のパリサミット会場)に似た高層ビルが目にはいる。地上二一階、地下三階建ての「テレコムセンター」がそれ。平成8年2月完成。
臨海副都心における高度通信拠点で、東京都と通産、運輸、郵政、建設など関係公益法人と金融機関の共同出資(第三セクター方式)で誕生した。地上四階の低層棟を境にして「イーストテレコムセンター」と「ウエストテレコムセンター」の二棟に分かれ、最上階の二一階で両タワーはジョイントする。事業主体は第三セクターの(株)東京テレポートセンター(本社=東京・江東区青海、吉岡輝夫社長)で、この2月で開業一周年を迎える。
このビルは高度のインテリジェントビルで、通信の国際化・マルチシステム化に対応して、大型のパラボラアンテナや通信衛星利用による内外への高速デジタル伝送、映像伝送サービス、さらには臨海副都心地域を対象にした高品質・多チャンネル・双方向の都市型CATVを実施している。
ビル自体のインテリジェント機能としては、光LAN、デジタルPBX、ICカードによる入退室管理およびキャッシュレスサービスなど高度のオフィス、セキュリティシステムを導入、日本最新のハイテクビルとしての存在にある。
既に企業はNTT移動通信網、松下電器産業、東芝、沖電気工業、山武計装、セコムなど大手企業を含め二五社が入居しており、通信・情報事業を推進している。
オフィス人口は現在一五〇〇人前後だが、4月以降は二五〇〇人ほどになる。高層ビルにしては少ないビル人口だが、省力化、システム化が進む最新のインテリジェントビルでの業務であるだけに、人が少ないのは当然の成り行きだ。
これらビル住民を支援する商業・サービス施設として、飲食、コンビニエンスストア、銀行、郵便局などが展開している。臨海部オフィスビルの商業施設であるので、店舗数も少なく、賑わいも乏しいが、しかし、別掲の飲食店店舗(九店)においては昼食時の利用は旺盛で、現在のところ各店舗とも最低二回転はしている。
東京臨海副都心青海地区。テレコムセンター。地上二一階、地下三階。パリ郊外の新凱旋門「アルシュ」に似たビルデザインで、イースト、ウエストの二棟建て。
右側のビルは地上二〇階、地下三階の青海フロンティアビル。最上階に東京港に関する資料を展示する「東京みなと館」が入居。地域来街のレジャースポットの一つ。
南欧食堂「アマートアマート」(電話03・5500・1820)。営業時間ランチ午前11時~午後5時、ディナー5時~11時、日曜休み。
店舗面積四六坪、客席数八四席。サントリーの子会社(スーパーダイニング)が展開するFC店。
コーヒー、紅茶一五〇円からと気軽に喫茶利用もできる。メーンメニューのスパゲティ(三五種類)は六八〇~八五〇円。
客単価昼八〇〇円、アイドルタイム三〇〇円、夜一六〇〇円。平日一〇割とすると、土曜日は六、七割の入り。日商三〇万円が目標。
酒喰い処「六右衛門」(電話03・5500・1818)。営業時間午前11時30分~午後2時、5時~10時、日曜休み。日本料理「一兆」を展開する升本フーズ(東京・江東区)の直営店。
串焼き、魚介顆料理(六〇~一〇〇品)と全国の地酒(四〇~一〇〇銘柄)が自慢の店。客単価昼一〇〇〇円、夜三〇〇〇~四〇〇〇円。まだ売上げは目標を下回っているが、4月からはビル人口も増える見通しなので、地域見学、レジャー客の来街とあわせて、今後の集客に期待している。
とんかつ「新宿さぼてん」(電話03・5500・1823)、営業時間午前11時~午後10時。店舗面積三七・五坪、客席数六六席。
とんかつ、串揚げ、大皿料理、中国レストランなどを展開するグリーンハウスフーズ(本社=東京)の直営店。
とんかつさぼてんは昭和22年創業以来の伝統の味が売り。質の高い食材、オリジナルブレンドの一〇〇%植物油、メニューはすべて手作り感覚。
ヒレかつ定食一二〇〇円、ロースかつ定食一一五〇円、月替わり定食一一〇〇円などが人気メニュー。ご飯、キャベツ、味噌汁はお替わり自由。ビル内の若いサラリーマンを狙っての“販促サービス”を展開。
平日はある程度の客数は確保できるが、土・日は四割に落ち込む。月商六〇〇万円が目標だが、現在のところは二、三割ダウン。
テークアウト弁当(ひとくちヒレかつ・ロースかつ・特ヒレかつ・ミックス弁当四種=各ウーロン茶付)五五〇円~八三〇円も販売しており、一日平均七〇食。今後は弁当売りも積極化していく。
昼食利用は当たり前のことで感心することもない。九店舗の総客席数は約八〇〇席であるので、ビル人口(二五〇〇人)との相関関係でみれば、二回転以上はする計算になる。夜は平均的にみれば、一回転どまり。
問題は会社が休みになる土・日の利用だ。とくに土・日曜日は完全休業するオフィスがほとんどであるので、ビル住人の利用はゼロに近づく。このため、とくに日曜日はクローズドする店もある。
飲食店舗九店の出店は、五階出店のカフェテリア「ベルエア」、味乃所処「吉」の二店はビル竣工からの開業だが、二階出店の南欧料理「アマートアマート」、中国料理「謝朋殿」、とんかつ「新宿さぼてん」など六店舗は昨年12月に入ってのオープンだ。
3月で開業三ヵ月ということになるが、現状の営業は特定の店を除けばシビアで、夜や土・日の営業は苦戦を強いられている。
しかし、4月からはビル内での研修業務などによるビル人口の増大、地域へのレジャー、観光(見学)客などの来街が見込めるので、今後の集客は大きく期待できるとみている。(東京テレポート)
このため、現在日曜日の営業をやめている店も、休みを返上することを検討している。
<一階>一店=喫茶「エスプレッソ・アメリカーノ」(契約面積 四坪、四〇席)
<二階>六店=南欧食堂「アマートアマート」(約四六坪、八四席)▽中国料理「謝朋殿」(七三坪、一〇〇席)▽信州そば処「そじ坊」(約二七坪、五〇席)▽とんかつ「新宿さぼてん」(三七・五坪、六六席)▽高級弁当「吟シャリ館」(テークアウトオンリー=二三坪)▽酒喰い処「六右衛門」(三八坪、六六席)
<五階>二店=▽カフェテリア「ベルエア」(二〇〇坪、二五〇席)▽味乃所処「吉」(一〇〇坪、一三二席)
中国料理「謝朋殿」(電話03・5500・0505)。
営業時間午前11時~午後10時。店舗面積七三坪、客席数一〇〇席。
グリーンハウスフーズの直営店。新宿、幕張、大崎店などに次ぐ九店舗目の出店。
日替わりランチ(料理二品、ご飯、スープ、ザーサイ)一〇五〇円。日替わり麺セット(日替わり麺、おこわ、サラダ、ザーサイ)一一〇〇円。
春巻き、シュウマイ、焼きギョウザなどの点心類(四〇〇~四八〇円)は店内での手作り。青菜、五目、牛肉、エビなどのスープそば(五種)、焼きそば(七種)八五〇~一三〇〇円も提供。
前菜、エビ、牛肉、豚肉、鶏肉、海鮮、フカヒレなどのグランドメニューは六〇種。中心価格は六〇〇~一五〇〇円と低価格志向。
客単価は昼一〇〇〇~一三〇〇円、夜二〇〇〇~四五〇〇円。昼は二回転するが、夜は波があって安定しない。現在のところは一回転どまり。月商目標一五〇〇万円だが、実績は下回っている。
信州そば処「そじ坊」(電話03・5500・1822)。営業時間午前11時~午後3時、5時~10時、土・日・祝日は午前11時~午後3時。
店舗面積二七坪、客席数五〇席。臨海部には台場地区の台場フロンティアビル、有明地区のワンザ有明ベイモールにも出店。
信州のそば、郷土料理と酒が自慢の店で、日中は食べ処、夜は飲み処に変わる“二毛作”の運営形態にある。
客単価昼一〇〇〇円、夜二五〇〇~三〇〇〇円。月商一〇〇〇万円(目標)。
・企業名/(株)東京テレポートセンター(東京都、公益法人、通信事業者、銀行などの出資による第三セクター)
・設立/平成元年4月
・所在地/東京都江東区青海二-三八(電話03・5500・0055)
・資本金/一三七億六五〇〇万円(授権資本一六〇億円)
・代表取締役社長/吉岡輝夫
・敷地面積/約六七〇〇坪
・建築面積/約四〇〇〇坪
・床面積/約四万八〇〇〇坪
・建物規模/高層棟=地上二一階、地下三階、低層棟=地上四階、地下三階
・施設構成/事務所、通信施設、公共施設、店舗、地域冷暖房施設、変電所