ヘルシートーク:女優・小芝風花さん
角野栄子原作の『魔女の宅急便』は1980年代、宮崎駿監督によるアニメーション映画となり大ヒット。2009年のシリーズ完結を機に、初の実写映画化が決定しました。魔女見習いのキキ役を演じるのは、約500人のオーディションから選ばれた新人女優・小芝風花さん。天真爛漫で元気いっぱいな雰囲気がキキにそっくりの小芝さんに、撮影中のお話などを伺いました。
◆原作やアニメファンのみなさんにも新しい作品として観てほしい
「キキ役に合格したよ」と事務所から聞いた時、頭が真っ白になって、母と一緒に号泣してしまいました。オーディションでは「受からないだろうな」と思っていたので、気取らずにいつもの自分のままで臨めたのが良かったのかもしれません。キキも笑いたい時に笑い、泣きたい時に泣く。そんな飾らない性格の少女だと思うので。
『魔女の宅急便』は、多くの原作ファン、アニメファンがいる作品。みなさんがそれぞれ持つ作品へのイメージや思い入れも強いと思うので、「新しい作品として観てくれるだろうか」「経験のない私にできるのかな」とプレッシャーはありました。クランクインの半年前からは、格好良く飛ぶための研究や練習を始めました。ほうきも意外と重たいので、撮影で長く持っていられるようにと木刀で1日200回、素振りをしました。木刀を使うと、ひじから下の、ほうきを持つ時に使う筋肉だけを鍛えられるそうです。その甲斐あって、ほうきを手でくるくる回せたり、いろんなことができるようになりました!
◆フィギュアスケートでの経験がほうきで飛ぶシーンに活かせた!
撮影は主に、香川県・小豆島と岡山県で行われました。ワイヤーで吊って飛ぶシーンでは、ワイヤーと身体をつなぐハーネスで胃が圧迫されて気分が悪くなったり、青あざが絶えませんでした。でも、風が気持ち良くて、景色もきれいで楽しかったです。ほうきに乗る時は、体重をかけ間違えるとくるっと回ってしまったり、グラグラしたりすることもありますが、小3から中2まで習っていたフィギュアスケートのおかげで、身体の軸があまりぶれることなく撮影を進めることができました。
キキは野生児で、喜怒哀楽がはっきりしている女の子。私も普段から女の子っぽい言葉遣いはしないので、「~だわ」「~よ」などのセリフがなくて安心しました(笑)。この作品は原作の実写版ということもあり、最初は原作に忠実である方が良いのかと思っていたのですが、監督に「それでは誰が演じても同じ。小芝風花のままでやってくれ」と言われ、現場ではなるべく自由に、その時の感情をそのまま表現するように心がけました。
◆将来は、どんな役もこなせる女優を目指したい
印象に残っているシーンは、住人たちから魔女の呪いだと言われ、怒りをぶつけるところ。私も知らない町で独り立ちしようするキキの気持ちに近づこうと思い、ロケ中は家族や友達との連絡を一切絶ちました。近くに愚痴を言える人がいない中、「さみしい」「会いたい」という気持ちが自分の中でも強くなり、本番ではキキの気持ちとリンクしながら想いをぶつけられたと思います。
ジジと崖でフォカッチャを食べるシーンも、良い思い出です。自然の中に食材やレンジを持ち込んで、その場で切ったキャベツやきゅうり、卵などをパンに挟んでほかほかの状態でいただいたのです。それがとてもおいしくて!
小豆島はそうめんも有名ですが、夏のロケで暑かったので、そうめんと一緒に丸ごとのトマトやきゅうりを出してもらったことも。みそなどを付けて、そのままかぶりつきました。
キキは13歳で初めて仕事をしますが、私の初仕事は14歳の時。「ガールズオーディション2011」のグランプリをいただいてすぐ、AEON(イオン)のキャンペーンガール「WAONガール」としてイベントに出演させていただきました。当時はとても緊張していて、「関西地区代表、小芝風花です」と言うのが精いっぱいだったのを覚えています。
将来の目標は、どんな役でも“どんとこい”と言えるような女優になることです。そのためにも今はいろいろな役にチャレンジしたいです。映画の中で、キキのお母さんが「なるべく笑い顔でね」と言うシーンがあるのですが、私も普段から笑顔でいることを心掛け、挑戦し続けたいと思います。
●プロフィール
こしば・ふうか 1997年大阪府生まれ。2011年、「ガールズオーディション2011」グランプリ受賞。CX系連続ドラマ『息もできない夏』(2012)で女優デビュー。テレビ愛知開局30周年記念ドラマ「スケート靴の約束』(2013)では特技のフィギュアスケートも披露した。2014年3月公開の『魔女の宅急便』で映画初出演・初主演。
◆『魔女の宅急便』(東映)3月1日(土)より全国ロードショー
Story:13歳になったら見知らぬ町で1年間暮らす。それが魔女修行の掟。魔女の血を引くキキ(小芝風花)は、相棒の黒猫・ジジと共にほうきに乗って旅立ち、コリコという海辺の町に辿り着く。パン屋の女将・おソノさん(尾野真千子)に見守られ、お届け物屋の仕事を始めるキキ。しかし、ある悪い噂が流れ始めると……。空を飛ぶことを夢見る少年・とんぼ(広田亮平)ら個性豊かな住人たちとの交流を通じ、成長していくキキから目が離せない話題作。
監督:清水崇
原作:角野栄子(角川文庫刊・福音館書店刊)
脚本:奥寺佐渡子・清水崇 音楽:岩代太郎
キャスト:小芝風花 尾野真千子 広田亮平 浅野忠信/筒井道隆/宮沢りえ