旧暦で楽しむ漢方スローライフ(8)立冬

2010.11.10 184号 08面
「イスクラ婦宝当帰膠」

「イスクラ婦宝当帰膠」

えびニラ餃子

えびニラ餃子

 ●立冬(りっとう)…11月7日頃 木枯らしに冬の到来を感じる

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 立冬とは暦の上で冬の始まりのこと。木枯らしが観測される頃です。木々は装いを変え、にぎやかだった虫の音は徐々に静かになり、冬至に向かい日没が早くなります。本格的な冬はすぐそこまで来ています。

 ◆冬と腎の関係

 「五行学説」では、冬は「蔵」、すなわち蓄える季節と中医学(中国の伝統医学)では考えます。その蔵の役割をするのが五臓の「腎」です。腎は成長や発育に関係するエネルギーの大本といえる精気を蓄えます。この精気が不足すると、耳鳴りや脱毛、不妊、精力減退、足腰の衰え、健忘などの症状が現れます。

 また、寒さは「腎」を傷つけやすいので、寒さから身を守ることはとても重要です。腎は水分代謝にも関わっているので、腎が精気不足や寒さなどにより影響を受けると、むくみ、排尿痛、排尿障害や頻尿などの症状が現れることもあります。

 ◆体力を養う生活を

 冬。動物は冬眠し、木々は葉を落とすなど、自然界は守りの体制に入ります。人も同様に、身体を休めエネルギーを蓄え、春に備える季節です。

 生活面では、睡眠時間をたっぷりと取ることや、安定した気持ちで過ごすなど、無理をせず全体的にゆっくりとしたペースを心がけると良いでしょう。ただし、寒いからといって暖房を使い過ぎるのは厳禁です。この時期に汗をかき過ぎると、せっかく蓄えたエネルギーが汗と一緒に流出してしまいます。

 食事の面では、「腎」と「気」を補い、身体を温めるものがおすすめです。

 もち米、白米、長芋、じゃがいも、ニラ、いんげん、栗、くるみ、干ししいたけ、鶏肉、羊肉、えび、なまこ、しょうがなどを食事に取り入れましょう。また、食材の色では、黒いものが腎を補うと言われています。黒ごま、黒豆、黒米、黒砂糖、黒きくらげなど、色で選んでみるのも楽しいかもしれませんね。

 漢方では、当帰(とうき)、黄耆(おうぎ)、地黄(じおう)など9種類の生薬を配合した『イスクラ婦宝当帰膠(ふほうとうきこう)』や、薬用人参、海馬(かいば)、鹿茸(ろくじょう)などが配合された『イスクラ参馬補腎丸(じんばほじんがん)』などがよく使われています。

 ●お手軽薬膳レシピ

 「腎」を補うえびと身体を温めるニラで餃子を。水餃子、焼き餃子はお好みで

 ◆「えびニラ餃子」

 〈材料・20個分〉

 ・むきえび(粗みじん)……120g

 ・豚ひき肉……………………120g

 ・ニラ(みじん切り)………1/2束

 ・長ねぎ(みじん切り)……5cm

 ・しょうが(みじん切り)…1/2かけ

 ・餃子の皮……………………20枚

 ・サラダ油……………………大さじ1

 ・水……………………………1/2カップ

 A・酒…………大さじ1/2

 A・しょうゆ…大さじ1/2

 A・ごま油……大さじ1/2

 A・塩…………小さじ1/2

 ・餃子のたれ(酢・しょうゆ 各適量)

 〈作り方〉

 (1)ボウルに豚ひき肉と長ねぎ、しょうが、Aの調味料を入れ、粘りが出るまでまぜる。

 (2)(1)にむきえびを加えて一度まぜてからニラを加え、よくまぜる。

 (3)(2)のあんを大さじ1を目安に餃子の皮で包む。

 (4)フライパンを熱しサラダ油を入れ、餃子を並べて中火で焼く。底がきつね色になったら、水を加えフタをして弱火で約5分蒸し焼きにする。

 (5)器に盛り付け、たれを添える。

 ※水餃子の場合、たっぷりの湯で皮が鍋にくっつかないよう時々まぜながら茹でる。

 レシピ担当:鈴木理恵(国際薬膳師、栄養士)

 ●季節のオススメ養生茶:生姜茶(しょうがちゃ)

 身体の中からポカポカする生姜のお茶

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