百歳への招待「長寿の源」食材を追う:アマランサス

2003.12.10 101号 11面

ヤーコンとアマランサスは、ともに南米アンデス山脈が原産。効用の高い食品だ。いずれも美味でヘルシー。ヤーコンは利用範囲が広くダイエット効果が大きい。保存性もよい。アマランサスは穀物用、野菜用ともに成分面でも優れ、東北地方で量産。美味で価格も安い。いずれも健康食品の店で取り扱われている。

(食品評論家・太木光一)

ヒユ科の一年生植物でアンデス山脈が原産地。一四世紀頃にはアステカ王への年貢として納められていた。現在では広くインドやアフリカでも栽培されている。分類すると栽培種と野生種、栽培種は種子用と葉菜用に分かれる。種子用は穀物として重要。このため英語でグレイン(穀物)・アマランサスとも呼ばれている。

一六世紀初頭にスペインからメキシコにやってきた侵略者たちは、アマランサスを栽培することも食べることも禁止した。年に七回ほど行われる宗教儀式に深いかかわりを持つ穀物ということで、キリスト教布教の妨げになると厳罰を課したのだ。この結果、アマランサスはメキシコから消滅した。

一方、ユーラシア大陸では中国に九世紀ごろ、一九世紀にはネパールやインドにも伝えられ、この地方では重要な作物とされた。さらにアフリカにも伝えられた。アマランサスの種類は多く、穀物としてのグレイン・アマランサスはモチとウルチが、さらに炒るとはじけるポップ種もある。ポップ種はヒマラヤやインドに多くみられる。

アマランサスは栄養に富んだ穀物で、タンパク質はコメやトウモロコシの約二倍、無機質も多く、普通の穀物にはみられないビタミンCも含まれている。このためスーパー・グレイン(驚異の穀物)の異名もみられる。葉茎を野菜として食べるベジタブル・アマランサス、とくに青葉はホウレン草に似て美味。お浸しや炒め物などに利用される。穀物用アマランサスも若い葉や茎は野菜として食べられている。

一般的な食べ方として、粒のままコメと一緒に炊いたり、粉にして菓子やパン・ギョウザの皮に用いられている。粉を熱湯でこねてソバガキのようにして食べてもよい。ヒマラヤやインドでは炒ったアマランサスをアメでかためて食べている。

粉食にした場合、栄養成分に優れ、トマトと比べてもカロテンと鉄は一〇倍、カルシウムは四〇倍、ビタミンCは三倍と多い。

ネパールのカトマンズではヒンズー教の特別の祭りに炒ったアマランサスを粉にして小型のパンをつくり供える風習があり、この粉に牛乳や水を加えて粉粥も食べられている。

アマランサスの生産国では、ビスケット・ビネガー・納豆・麺など用途が拡大。健康食品としてアメリカでも注目され、健康食品店で成長期待の食品となっている。

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