百歳への招待「長寿の源」食材を追う「ヘーゼルナッツ」
ヘーゼルナッツの日本名はハシバミ。カバノキ科の落葉低木の実である。欧州大陸から地中海にかけてが原産地。果実はドングリ形であるが、品種差により長短がみられる。主産地はイタリア・スペイン・イギリス・トルコなど。アメリカや中国でも産出される。トルコが最大の生産量を誇り紀元前から食されてきた。中国でも古くから食べられていた。しかしアメリカの生産技術が進み世界の主産地の一つとなってきた。
品種面で最優良品種はスペイン産のバルセロナ種で風味は高く味も最高である。アメリカはこのバルセロナ種を輸入し品種改良して生産増に注力している。
ヘーゼルナッツの成分をみると、カロリーはマカダミアナッツ・ペカン・ココナッツ・クルミ・ブラジルナッツに次いで高い。特にタンパク質、脂肪、繊維の多い点が目立つ。カルシウムはアーモンドに次いで多く、鉄分はピスタチオ・松の実と並んで多い部類に入る。現代の食生活に不足している無機質も多く含んでいるので貴重な食材といえよう。またビタミンB1、B2も多く含まれ、お年寄りの日常食にも向く。市販されているものはローストされたもので、塩分は一・五%程度である。
ヘーゼルナッツは特有の香りと風味で好まれている。
粗びきにしたり、刻んだりするとフレーバー類と同様に非常に香ばしいものとなる。このフレーバーはアルコール抽出が可能なため、アイスクリームやクッキーなどに利用されている。
アメリカではミックスナッツに加えられ、アーモンド・カシューナッツとともに人気が高く高級ナッツの一つとされ、ビールやウイスキーなどのつまみとして喜ばれている。
イタリアでは粗びきにしたり、一個のままをチョコレートコーティングして製菓用食材としたりして珍重されている。トリュフ(キノコ)形にしたヘーゼルチョコレートは最高級品として有名。
イギリスではクリスマスプディングの中に入れられ欠かすことができない。ドイツやフランスでもヘーゼルをペースト状にしてソース材料やケーキ用に使われている。利用価値は思いのほか広いものがある。
日本でも奈良・平安時代にはハシバミとして間食とされたが、現在ではなじみの薄いナッツ。味と香りのすばらしさがヨーロッパなみに知られてくれば、今後人気が高まるものと期待されよう。