百歳への招待「長寿の源」食材を追う「メハジキ」女性の保健薬
益母草・女貞子は、ともに利用法が広く女性にとって最大の味方の漢方薬材。最近の日本は男性より女性が元気で活躍している。日常の保健強壮薬として一般のご愛用をお勧めする。
(食品評論家・太木光一)
益母草(メハジキ)は女性にとって名前にみるように最大の味方の薬草である。日本ではメハジキと呼ばれるシソ科の二年草。各地の原野などに自生し高さは一~一・五メートルぐらいになる。
子供たちはこの茎を切り、まぶたにはさみこみ、目を大きく開いて遊ぶ。このため目弾(メハジキ)の名前が生まれたといわれる。夏から秋にかけて淡紅色唇形の小花を多数つける。
日本では薬材として葉と種子を利用する。葉にはレオヌリン・ルチン・脂肪酸・ラウリン・リノール酸・リノレン酸・オレイン酸などが含まれている。
益母草の利用法は広く、薬茶・薬酒・薬粥などに利用され、産後の出血・生理不順・めまい・腹痛などに効果がみられる。さらに利尿剤として、また眼疾・白内障・視力減退などにもよいとされている。
薬茶として益母草茶・益母紅糖茶・調経茶などに利用されている。
益母草茶は、益母草(乾燥品)ニ〇グラム、緑茶一グラムを用意。沸騰した湯の中に入れ約五分間おいて、痛経時に茶として飲むとよい。極めて手軽で飲みやすい。痛経時に茶として飲み、活血調経・降圧利水・興奮神経によく、痛経も和らぐと期待される。
そのほか紅糖を加えたり、川 (一〇グラム)、当帰(六〇グラム)、益母草(四〇グラム)を混ぜて茶を作り一日分として飲むと効果はさらに大きくなる。
益母草は粥としても利用される。益母草汁一〇ミリリットル、生地黄汁四〇ミリリットル、はす汁四〇ミリリットル、ショウガ汁二ミリリットル、蜂蜜一〇ミリリットル、うるち米八〇グラムを用意する。
功効主治として滋陽・養血・経調・解渇・熱病後の口渇き・吐血・喀血・咳血・尿血・便血・女性の生理不調・産後の立ちくらみ・腹痛などに効果がみられる。
この粥の作り方は益母草・鮮地黄・鮮藕(れんこん)・ショウガなどを洗浄して絞り汁をとり、粥をつくるコメの中に入れて煮粥を作るが、最後に蜂蜜を加えて出来上がりとなる。
益母草粥は婦人用の薬粥として知られ、婦人の諸病に卓効がみられる。産後の疲れを癒し、血気不調・腹部疼痛・心熱煩躁などによい。益母と呼ぶにふさわしい。
なお、粥づくりに鉄鍋は禁止で土鍋が望ましい。粥を食べている間は三白、即ちネギの白い部分、ラッキョウ・ニラを食べてはいけない。
また益母草酒も効果が高い。益母草一五〇グラム、ホワイトリカー一〇〇〇ミリリットル、グラニュー糖一〇〇グラム、果糖五〇グラムを用意。細断した益母草を容器に入れ二〇度のホワイトリカーを注ぐ。密栓して冷爽な場所に保管。一日一回軽く揺する。七日目に開栓し全液をろ過し、再び液を容器に入れグラニュー糖と果糖を加える。密栓して冷所に保管。一カ月後に益母草酒が出来上がる。一日三回二〇ミリリットルを毎食前に。女性の保健薬として常用が望まれる。
神農本草経によると、益母草酒は目を明らかにし、精を強くし久しく用いれば身も軽くなるとする。全草を薬湯にしても効果大である。