もうひとつの紫「醤油」、濃い味付けはダイエットにも禁

1998.09.10 36号 26面

魚料理に「立田焼き」というものがある。これは奈良県立田川の紅葉の色から引用したもので、良質のしょう油を使わないと、このおいしさは出ないという。しょう油は別名「紫」とも呼ばれ、色は鮮明でしかも深い赤みのあるものが尊ばれる。日本人に欠かせない調味料、しょう油。減塩しょう油など、特徴を知ってよりヘルシーに利用したい。

●資料=日本食糧新聞社『味噌・醤油入門』

アイスクリームに一滴のしょう油を振りかけたりマヨネーズに合わせるなど、洋風の新しい使い方も定着してきたが、しょう油の味・香りがどうしても必要な料理といえば、うなぎの蒲焼きや刺身・寿司など。

また、しょう油は肉や魚の下ごしらえにも重要な役割がある。しょう油中の食塩分やその他の有効成分が働いて料理素材を柔らかく仕上げたり、煮崩れを防いだりする効果もある。

◆ 栄養効果

しょう油の栄養的な価値としては、食物の味や香りを引きたてるというような効果から、食欲を増進させ唾液や胃液の分泌を促し食物の消化吸収を助ける作用が実証されている。また塩分や有機酸類などの成分によって、大腸菌やその他の食中毒菌を死滅させる衛生的な効力があることも、見逃せない。

◆減塩の調理テク

塩味が強いとご飯の食べ過ぎにつながりやすく、肥満の原因にも。

塩分を減らして、薄味にするには、だしの旨み、酢やレモンの酸味、油のコクを生かす、ショウガなどの香味野菜やスパイスを利かせるなどがコツ。また、煮物は水溶き片栗粉でまとめると、旨みが逃げない。汁物は海藻、キノコなど低カロリー素材を加えて具だくさんにし、汁けを少なく仕上げるのも減塩に効果的。

◆種類

しょう油はその地方その地方によって製法も名称もさまざま。基本的な作り方は大豆と小麦を原料にして麹を作り、これに食塩を加えて発酵させる。発酵したものを絞ったのが“生じょうゆ”。それを成分調整して、加熱殺菌したものが普通の“しょうゆ”だ。さらに塩分量や色によって、いくつかの種類に分けられる(表参照)。用途や好みに合わせて選んでみてはいかが?

六〇~七九歳の男女の食生活を調査した「ニューシルバーの食マーケット」(平成8年10月、(財)食品産業センター)によれば、「減塩食品を利用する」と答えた人は全体の半数以上、さらに「減塩しょう油を使っている」と答えた人は、全体の三二%に上った。利用者はとくに病人という訳でもなく、健康に関心の高い人たちであることがわかっている。減塩しょう油は、ゆとりあるシニア世代の定番品といえそうだ。

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