ニューヨーク通信 外食ビジネスの新発想(101)Uncle Sam’s 北京発のハンバーガーチェーン
アメリカのファストフード・チェーンがこぞって中国に進出している中、ついに中国発のファストフード・チェーンがアメリカに進出、NYに第1号店をオープン。しかも、アメリカの国民食であるハンバーガーに挑戦。ハンバーガーのチェーン店が拮抗(きっこう)する中、北京発のチェーンは、チャーシュー・バーガーなどユニークなメニューを展開。アメリカ市場に食い込んでいけるのだろうか?(外海君子)
●「アメリカ」という名の中国資本バーガー店
北京に本拠を置くチェーンの、その名も「アンクル・サムズ」。アンクル・サムとは、ほかの何でもない、「アメリカ」を意味する。
エンパイアステートビル界隈(かいわい)のミッドタウンにオープンした同店のドアを開ければ、目に入ってくるのは、中国らしからぬ、ポップでモダンなインテリアだ。明るくて、清潔。
●アジア、中国の味をアメリカ人向けにアレンジ
同店は、アメリカと中国という世界の二大マーケット制覇を目指して、中国資本が地元チームと組んで市場に食い込みを図る。メニューは、かの有名なジェイムズ・ビアード賞を取ったシェフ、ブラッドフォード・トンプソンにより、アメリカ人の舌に合うようにアレンジされている。
たとえば、人気メニューの一つ、「チャーシュー・ベーコン・バーガー」は、牛肉のパティにチャーシュー、チェダーチーズ、レタス、ピクルスをのせ、特製ソースをかけたハンバーガーだ。やはり人気の同店お薦めバーガー「シグネチャー・バーガー」は、ソテーしたマッシュルーム、ネギ、スイスチーズをのせ、オイスター・ソースをかけたもの。「Kタウン・バーガー」は韓国風で、カルビやキムチなどが挟んである。アジア、特に中国の味にインスピレーションを得たバーガーたちだ。パンは、ポテトロール。
もちろん、それほど冒険のできない顧客のために、トラディショナルと名付けて、定番のバーガー「アメリカン・クラシック」も用意している。
また、目新しいところでは、チキンのバーガー風サンドイッチもあり、これも人気メニュー。チキンは、パン粉で揚げたものと、グリルしたものから選ぶ。「ベイジン(北京)」と呼ばれるチキン・サンドイッチは、トッピングはキュウリとネギで、海鮮醤(英語ではhoisinホイシン・ソースという)をかけたもの。
すべて注文を受けてから調理している。
●メニュー開拓は続く
午後3時から6時まではミルクシェイクやアイスクリームフロートの値段が3$に。人気は「ベトナム・コーヒー・ミルクシェイク」。変わり種は、「ごま味噌ミルクシェイク」。ほのかな味噌味がコクと深みを付け、意外なほどの味のハーモニーを成している。
バーガーの他に、サラダやライスボウル(丼物)もあり、将来、もっとメニューを開拓し続けていくそうだ。
アメリカ人によると、毎日食べても飽きないというハンバーガー。「シェイク・シャック」「ウマミ・バーガー」「ラーメン・バーガー」など、新参者がどんどん新しいコンセプトでバーガー市場に参入しており、同店もその一つだ。カラフルな繚乱(りょうらん)が続く中、北京発のバーガーの行方はどうなるか。
◆人気メニュー5
「アンクルサムズ・シグネチャー・バーガー(Uncle Sam’s Signature Burger)」(7$95¢)
「チャーシュー・ベーコン・バーガー(Char-Siu Bacon Burger)」(7$95¢)
「ベトナム・コーヒー・ミルクシェイク(Vietnamese Coffee Milk Shake)」(4$95¢)
「アメリカン・クラシック・バーガー(American Classic Burger)」(5$95¢)
「NYCチキン・サンドイッチ(NYC Chicken Sandwich)」(6$95¢)
●事業データ
アンクル・サムズ(Uncle Sam’s)/所在地=307 5th Avenue, New York NY/開業日=2015年5月/営業時間=毎日午前11時~午後11時/席数=84席+プライベート・ダイニング40席